玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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無能の人

▼親戚と会う。一匹いたら三十匹いると思え。隙あらばやってくる、それが親戚だ。正月に会うのだからもういいのではないかと思うのだけど。

 

NHKの動物番組に武井壮さんが出ていた。動物が目の前にいる想定で戦う、いつもの一人芝居を披露していたが、親戚の伯母を中心に「何が面白いの?」「この人はふだん何をやっているの?」「なんでタンクトップなの?」「あなたもああいうのが面白いの?」などの質問を浴びせられる。なぜか武井壮サイドで弁護を強いられる。

 

好きでも嫌いでもない武井壮さんに対して「いや、あれは動物と戦うというシリーズみたいなもので‥‥」と一言返せば、「なんで戦うの?」「だからそれのどこが面白いの?」「若い人はこういうのがいいの?」「あんなかっこでテレビ出てねえ。寒くないの?」「そういえばこの頃、裸の大将やらないわね」などとうるさい。

 

武井壮には、おばちゃんどもを倒す一人芝居をやってもらいたい。

 

 

 

▼ドキュメンタルを観ている。芸人にとって恐ろしい番組かもしれない。2,3人だけで番組をやっていたら、実力というのはわかりにくい。芸人が10人揃った中で、さあ自由にやってと言われたら、けっこう気おくれしちゃって言いたいことも言えないんじゃないのかなあ。どうしても実力差は見えやすい。

 

私も今、自分より歳が二十も三十も違う人の中に放り込まれている。集合住宅の委員会がこれである。べつに面白い事はやらなくていいんだけど。これがねえ、本当に喋れないんですよ。新入社員のとき以来からもしれない。ザ・でくのぼう。地蔵と化している。赤い前掛けでもつけとこ。

 

みなさんとは経験も知識も違うから、仕方ないのかもしれないけどまったく役に立ってないのだ。本当に座っているだけ。せめて私がパンダのシャンシャンぐらいかわいければ。シャンシャンでもないしなあ‥‥。みなさんとは問題発見の早さが違うように思う。たとえば、前期総会は9時間という長時間に及び、場が荒れに荒れた。これをなんとかしたいという。

 

うまくいっていないというのは私でもわかるが、その原因を突きとめる力が弱い。なんで場が荒れたかというと、総会に出席した人が100人で議長への委任状が400通あった。議決は賛否が50対50に割れたが、議長は一人で400票持っていることになるんですね。その場の議決なんて意味がなくて、議長が入れたほうが無条件に通ってしまう。これでは議案を審議する意味なんてない。住民自治について国交省も問題視している点だけど。この仕組みをなんとかしようという。

 

言われてみればそれだけかという話だけど、こういう当たり前の原因に気づかなかった。制度はそういうものだとして諦めていた。これを変えるために、委任状は議長への委任ではなく、総会での賛否の比率に割り振るというアイディアも出ている。問題がわかってしまえば解決するのはそれほど難しくなくて、問題の発見こそが難しい。そして、私は何も言えず地蔵になるという。ううう。

 

今のところ、私はみなさんより二十も三十も下ということで許されているところがある。だが、新しい年下の委員が入ってきたら、私が若いからポンコツなのではなく、ただ単にポンコツということがばれるだろう。それを恐れている。新しい年下の委員が入ってきたときに、奴が気おくれせずにバンバン発言するようだったら毒を盛らねばならない。

 

今、そのために薬の勉強をしています。もっと他に勉強することありそうだけど。

 

 

 

▼映画の感想「ヘラクレス」を書きました。ギリシャ神話に出てくる英雄ヘラクレス。筋肉、友情、勝利! という少年ジャンプのキャッチコピーのようなわかりやすさ。後味すっきり、家族で観られる爽快な冒険譚。