玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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赤い羽根

赤い羽根共同募金の季節。これはもう何回も書いていることだけれど、子供の頃、ボーイスカウトで募金活動をやっていた。高額紙幣を募金してくれた後に「羽根はけっこうです」と去っていく人がいる。スカウトたちは「今の見た?」「かっけー!」と、まあ盛り上がる。金額の多寡は重要ではないにしろ、やはりかっこいい。

 

あの活動はいろんな人を見られて有意義だった。人に見せびらかさない善意を持つ大人が一定数いることを知れただけでも嬉しい。世の中それほど悪くないと楽観的になれるのはこういう経験が効いているのかもしれない。もちろん普通は羽根を受け取るし、募金してくれるだけでもありがたい話。

 

 

 

かりんとうを食べていたら奥歯が割れた。5ミリ四方の欠片が2つも取れた。歯が割れるなんて経験は生まれて初めてで、さすがに動揺した。よく見ると、割れた歯の根本、歯茎に繋がっている部分が黒ずんでいる。痛みはないが虫歯だったのかもしれない。密かに症状が進行していたのかな。磨き方が悪いのだろう。慌てて近所の歯医者を何軒か周ったが、今はどこも予約制で飛び込みでは見てくれないのだ。困った。

 

受付の人に「死にそうなほど痛い場合、どうすればいいんですか?」と訊いたら「死にそうなほど痛いですか?」と訊き返される。「いや、そうでもないです」と正直に答えたら、診てもらえなかった。バカであるが性分なので仕方ない。明日の予約を取った。震えて眠ろ。

 

 

 

浅田次郎さんのインタビューを読む。「プリズンホテルのようなギャグはもう書けない」と答えていた。プリズンホテルは読んだことがないしどんな作品かはわからない。だけど、その時期にしか書けないということはわかるような気がする。ある時期に自分が熱中して面白いと感じていることがあって、それを「後になってやればいいや」と後回しにすれば、いざ取り組んだときには当時の熱量が落ちてしまっている気がする。

 

技術的に当時より上達していたとしても、心から自分が乗っていけないというか。下手であっても、楽しいと感じたら今それをやらないといけないのだろう。後でやれたとしてもそれは違った形にしかならない。

 

 

 

▼今、カップヌードルはこんなことになってたのか‥‥。