玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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お盆休みの猫

うんこ漢字ドリルというものが流行っているようで、書店などでも目に付くところに置いてある。うんこを問題文に使ったドリルです。知り合いの家にお邪魔したときも、お子さんがうんこ漢字ドリルの問題文を声に出しながらやっていた。それだけでは飽き足らず、わたしのところに来て「うんこ、チンチン、タマキン」などと言って、親に怒られていた。子供は下品な言葉が大好きである。

 

タマキンという言葉は、ひょっとして業界用語なのだろうか。

 

今年の8月は雨ばかり降る。

 

 

 

▼連休中、会社へ。交代で休んでいるらしく、人はまばら。耳から血が出ても耳かきがやめられないミミチーちゃんが出社していた。話を聞けばナイトプールに行ったらしい。あれは都市伝説ではなく本当に存在したのか。入場料5千円だか1万円だかで泳ぎもせずに写真だけ撮るという。本当だったのか。

 

ミミチーちゃんがナイトプールでインスタグラムに画像をアップしまくっていたとき、わたしはベランダでひっくり返った蝉を表にして助けていた。実にインスタ映えしない人生を送っている。ちなみに、蝉がひっくり返っているとき、足が交差していると死んでいます。足が開いているやつは生きているので、ホウキの柄などを持っていくとヒシと抱きついてくるので、そのまま上向きにしてやり、ホウキを振ると飛んでいく。

 

 

 

▼一緒に仕事を請けているN氏の家へ。N氏の太った飼い猫、三毛猫のホームズは今日もふてぶてしく愛想が悪い。通常営業と言えましょう。お土産の焼き鳥を取り出すと、ホームズは「それ、猫も食べられるんじゃない? 知ってるんだけど!」という顔をしてくる。目が好奇心で真ん丸に見開かれている。いつにないやる気。 

まさしくこんな表情。N氏から「駄目だ、これしょっぱいから。おまえにはやれない」と突き放されると、不貞腐れたように丸くなってしまう。「駄目」という言葉を理解しているのか、言葉の強さやイントネーションで判断しているのかわからないけど、とにかく駄目という意思は伝わっているんですね。

 

N氏が飲み物を取りに行くと、ホームズはサッとわたしのところに擦り寄ってきて「ナァ~」と鳴く。まるで、「あいつは駄目って言ったけど、おまえはくれるよな? 一切れならわからんし、あいつが戻ってくる前にくれ。今くれ。早く! な? な?」という感じの「ナァ~」だ。賢い。

 

だが、「駄目」と言うと、一切の興味を失ったようにすごすごと去っていくのだった。その現金さが清々しい。もう呼んでも来やしない。目の前で猫じゃらしのオモチャを振ってみても目が冷たい。「それ、5年ぐらい前にブーム終わってますよね。今更、猫じゃらしとか、相当滑ってますけど自覚あります?」みたいな顔をする。わたしの心を折りに来るな。なかなかの愛想のなさであるよ。そうかと思えば、ふと気が向いたのか、わたしの膝の上に乗ってきて眠り出すのだった。よくわからない生き物。

 

 

 

▼映画の感想「K-19」を書きました。冷戦下のソ連。戦闘のない潜水艦映画です。