玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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貞子

▼貞子フィギュア

先日、「貞子VS伽椰子」というホラー映画を観た。貞子フィギュアというのがあるんですね。

 

 

やっぱりファンは欲しいものなのか。フィギュアの世界の奥深さよ。

 

 

 

▼BSプレミアム「英雄たちの選択」、今回は粘菌研究者として有名な南方熊楠だった。熊楠は神社合祀令に反対、神社の鎮守の森が失われることを恐れ、自然保護活動に力を注ぐ。この当時の日本は日露戦争(1904年)を終えたばかりだった。ロシアにはかろうじて勝利したものの、それは日本海海戦で勝利したということにすぎない。当然、ロシアに侵攻する余裕などない。講和を結んだものの賠償金もとれない。国力では遥か下に見られていた。日本は欧米列強の脅威にさらされ、日本という国の存立自体が危ぶまれていた時期である。政府の人間にとって熊楠が提唱する自然保護などどうでもいいというのが本音だっただろう。

 

そんな中、生物の多様性の重要さを理解し、自然保護運動を始めた熊楠の考えは先進的だった。先進的すぎたゆえに一種の狂人と見られたのかもしれない。だが、熊楠は民俗学者で官僚でもある柳田國男と親交を深め、柳田の協力をとりつけることに成功する。熊楠の思考の柔軟性に驚く。反体制の運動を行っていると、どうしても権力=敵という思考に陥りやすい。だが、熊楠は権力の中枢にいる柳田をうまく巻き込んでいる。

 

運動を成功させるには権力という上からの力が必要であり、現在の反対運動にはこの視点が欠けているのではないかと番組で指摘されていた。政治家や官僚が上からの力を発揮するには下からの力、すなわち民意が必要で、ようは上も下も必要なわけである。熊楠はこの構造を熟知していたのかもしれない。反体制になるあまり、権力を敵としか見做さない考えはあまりに未熟で運動そのものも失敗に終わってしまうのではないかと思わされた。