玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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ハルキスト

▼月末である。寒し。寒い日はカレーうどん。カレー屋はあるし、うどん屋はあるが、カレーうどん屋というのはない。なんかこうちょっと変則的であり、邪道っぽいからだろうか。カレーにもなれず、うどんにもなれなかった子。アンパンマンにもカレーパンマンとうどんくんはいるのに、カレーうどんマンはいない。ジャムおじさんは何をやっているのか。しかし、あいつはパン専門のような気もするけど。とにかく、わたしはカレーうどんマンのことを考えると涙がとまらなくなるのです。

 

まったく考えないで書くと、こういうことになる。

 

 

 

▼村上春樹の新作「騎士団長殺し」が発売された。村上春樹ぐらい「何が面白いのかわからない」と悪口をいわれ続けて小説が売れている作家はいないように思う。悪口をいうために読むのだろうか。不思議なことです。そして、村上春樹の作品にはカレーうどんは出ないだろう。カレーうどんマンは出るかもしれない。

 

今回の作品も、隙あらばパスタを茹で、ラジオからはすてきなジャズがかかり、行きずりの美しい女がベッドに潜り込んでくるのだ。あと何人か死ぬ。読んでないけど。だいたいこれだけ書いておけば間違いない。というと、わたしが村上春樹嫌いなようですがそんなことはなく、ほとんどの村上作品を読んでいる。おでこに「ハルキスト」というタトゥーも入れている。

 

で、わかりにくいといわれる村上作品ですがこの2冊を読むと理解しやすいかもしれない。そもそも理解する必要もなくて、合わなければいくらでも読む本はある。

 

 

「職業としての小説家」は氏の小説作法や考えの深め方、生活習慣なども取り上げていて興味深い。企業秘密と思えることも気前よく語っています。誠実で人柄がいいんですよね。右のインタビュー集は同じ話がたびたび出てくるものの、それでもとても丁寧に作品について語っている。

 

村上作品を読むとき、もってまわった奇妙ないい回しを楽しむこともあるのですが、淡々とした人柄を楽しんでいるところもある。森博嗣作品でも同じように読んでしまうことがある。淡々としてそれでいて誠実な感じが伝わってくるのだ。内容とは関係なく。そんな書き方は失礼なのかもしれないけど。

 

どんなに作者の人間性が歪んでいようが人を殺していようが作家は作品さえ優れていればいいと思う。それでもねえ、ふとしたところに現れる人間性みたいなものにほっとするところがある。プロレスを観ていて、悪役レスラーの動きに「あ、この人、本当は真面目な人かも」と垣間見られる一瞬があるが、それを目にしたときに似ているのだ。そういう読み方も許してもらいたい。