玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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お土産

▼会長の句会の手伝いをしていたら、お年寄りと話す機会が増えた。句会のメンバーから「意識が高いとか低いとかいうけど、ああいういいかたは十年前はなかった」といわれる。たしかにそうかもしれない。そんでお年寄りは、意識が高い低いより、あるかないかである。意識ない系になると死ぬ。高い低いいっているうちはまだ大丈夫。どうかお元気で。

 

 

 

▼人に物を上げることは難しい。歳をとればとるほど難しくなる。上げる人との経済的な差というのもある。相手がお金持ちだったりすると、もっといい物を持っているのではということで気が引ける。家に飾る物だと、趣味が合わなかったらなどと思ってしまう。迷った結果、相手の迷惑にならぬよう無難な消え物を差し上げることが増えた。

 

その点、友人Nは偉い。湖に行ってきたとかで、10センチぐらいの貝の飾り物を土産に買ってきた。〇〇湖と貝の表面に彫られている。どうするんだ、これは。失礼な話、10人中9人は「これいらない」というのではないか。そういったものを堂々と持ってくるハートの強さに憧れる。しかしですよ、ここで無難なお菓子などをもらっても1年後には忘れてしまうだろう。変なものであれば「あれはひどかったなあ」と、のちのちまで笑うこともできる。

 

映画が好きでよく観ますが、憶えている映画というのは自分にとって良かったか悪かったかのどちらかしかない。普通にまとまっているものほど記憶に残らない。あまりにもひどいと「こ、これはとんでもないものを観てしまった!」と興奮できる。無難が一番よろしくないのではないか。ということは、今後はお土産に都道府県の形のキーホルダーとか、観光地のペナントとか、提灯とか、もらって迷惑な物をどんどん上げていこうと思います。

 

人間として正しい方向に行っているか、今一つ自信がない。