玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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寒波

▼寒波来たる。寒し。カレーうどんを作った。カレーのよいところは、誰が作ってもそれなりに美味しいところである。ひどくまずいカレーというのは記憶にない。そこにカレーの料理としての完成度、さらにいえば徳の高さがある。わたしも生まれ変わったらカレーになりたい。まろやかでコクのあるビーフカレーになりたい。

 

おじいちゃん、もうそういうのいいから。そんなこんなで一月半ば。

 

 

 

▼女子大生バイト後輩ちゃんから欠勤のメール。後輩ちゃんに手伝ってもらう仕事があったが仕方ない。食中毒らしい。「前日から準備万全で楽しみにしてたのにすみません」という内容だった。添付された画像ファイルには、かばんに詰められたポッキー、チョコパイ、キノコの山、コアラのマーチメルティーキッスなどが映っていた。仕事と遠足を間違えている人がいる。それと、チョコばっかだな。どうぞお大事に。

 

 

 

▼叔母の家の片付け終了。一人暮らしということでなめていたが、とにかくたくさん物があった。いろんな伝手で配ったがそれでも引き取り手のない物がある。キツネの襟巻も親戚はみんないらないそうで、余ってしまった。キツネの顔がついているので、今の時代からすると残酷でちょっと使いにくいということなのかな。ふわっふわなのに。

 

いろいろ暖かい物はあるわけで、あえてキツネを獲って襟巻にする理由がない気はする。だが、みんなこの襟巻を使わないとなると廃棄することになり、それはそれでもったいない。勝手に殺しておきながらキツネに申し訳ない。なのでわたしがもらうことにした。女物だし、外にしていくのは人目が気になるが家の中でしたら暖かいかもしれん。

 

荷物に入れる場所もなく、仕方がないので襟巻を着けて帰った。毛皮を身につけてわかったが、あれはあれのよさがある。尻尾のあたりを触っていると生き物のぬくもりというか、落ち着くところがある。しかし、電車の中の人目が気になる。よっぽどの毛皮好きに見えているのか。女物を着けているということもある。人生には、自分の考えとはまったく関係のないかっこうをしてしまうことがあるのだなと感心した。人を見かけで判断してはいけないとはこのことか。

 

街中で、ミニスカートのおっさんを見たり、ロングコートの下が全裸というおっさんを見たことあるが、あれも思想信条とは関係なく、なにかやむにやまれぬ理由であのかっこうをしている可能性がある。温かい目で見守っていきたい。大寒も過ぎたことだし春が待ち遠しい。