玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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ライオンダイエット

▼友人は自己流のライオンダイエットというのをやっている。米やパンなどの炭水化物は太るので肉しか食べないという。栄養的に大丈夫なのかなと思うのだけど「ライオンが野菜を食べるのか?」と自信満々だった。ただ、肉食動物は草食動物の内臓を食べることで、消化中の草を摂取している(日本ハム)。野菜食べているんですね。人間も内臓を食べるが生ではなく加熱したものを食べる。加熱することで失われてしまう栄養素があって、その分を野菜や海藻で補っている。

 

で、肝心のライオンダイエットの成果はというと1年で体重が85から70キロぐらいに減り、肌もつやつやしてきたという。もっとも食事だけでなく運動もやっていたそうだけど、それでもなかなかいい。先日、友人は健康診断があり、自信満々で結果を受け取ったところLDLコレステロールの数値が異常に高くなっていた。今度、精密検査を受けるという。一年前までは数値はすべて正常だったらしく、友人は打ちひしがれていた。

 

ライオンが精密検査を受けるのか?と訊きたい。そういう意地悪なことはいわない。今度、友人はあらたにシマウマダイエットを始めるという。肉を一切食べず草しか食べないらしい。ライオンからシマウマへ。極端である。

 

バランス良くとか、普通にとか、できないのか。

 

 

 

▼一緒に仕事を請けているN氏の家へ。最近、流行っているピコ太郎の動画「PPAP」を観ていた。N氏は「全然わからない」そうである。わからなくてもいいんでないの。おまけに「どこが面白いのか説明しろ」という。面倒な人だな。数学の方程式とか、学術論文とか、羽生さんが指す一手とか、そういうものはわざわざ「わからない」とはいわない。ああいうものは、わからないのが普通なのだろう。

 

むしろ数学よりも説明が難しいんじゃないかなあ。お笑い、芸術、料理などは説明できないように思える。カレーをうまいと思う人が、まずいと思う人にカレーの良さを伝えようとする。カレーの旨さについて、スパイスとかブイヨンだとか、具がどうだとか、分析的に語ったとして何か意味があるのだろうか。カレーを徹底的に分解しても、何も伝わらない。それはもう、食べてうまいかまずいか、好きか嫌いかの話でしかない。説明したつもりになっても、伝わるのはカレーの成分とか、何か他のものでしかない。わかるということは、わかる人にはわかるし、わからない人にはわからない。

 

説明しなければわからないなら、説明したって無駄なのである。なぜかみんな、わかると思っているのかもしれないが、人にはわからないことがある。自分にはわからないいいものがある、ということでは納得がいかないから難しい。本当はそれだけのことなのだけど。カレーが好きな人がいればハヤシが好きな人もシチューが好きなひともいる。カレーが好きという人に「カレーの良さが全然わからない。まずい。ハヤシのほうがいい」といっても仕方がない。でもそういう人をけっこう見かける。

 

あと、ピコ太郎、わからなくてもいいんじゃないのか。べつに。

 

 

 

▼CSから日本シリーズが面白い。いや、すごいですね、大谷選手。劇的なサヨナラ勝ちだった。大谷選手が二刀流を始めたとき、評論家の大部分は否定的だった。元中日の落合さん以外は二刀流に反対していたように思う。うまくいき出したころ、野村克也さんがあっさり意見を変えていた。ああいうところがノムさんの憎めないところなのだけども。

 

人は通常目にしないもの、自分の尺度で測れないものをみたとき、否定的になってしまうのかもしれない。大谷選手はまさに規格外で、野球ファンの常識では判断できないすばらしいものをみせてもらっているのかもしれない。しかし、広島も強いし、こりゃ面白いなあ。