玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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ペルソナ3FES

▼ペルソナ3FES

もう「ペルソナ5」が発売されようという時期に「ペルソナ3FES」をやり出した。しかし、買って封も開けてないゲームというのがまだけっこうある。今やる。発売から10年経った今やる。すぐにやりなさいよという話ですけど。

 

 

子供の頃、「デジタル・デビル物語 女神転生」をプレイしていた。まさかこの歳になっても、同じシリーズをプレイしていようとは。このシリーズには悪魔が登場しますが、悪魔よりも恐ろしい話であるよ。こわいこわいこわい!

 

初期作品は、悪魔合体という斬新なシステムを取り入れたオーソドックスな迷宮探索ものだった。プレイしていると、迷宮のマップを暗記してしまい、地図を確認しなくてもスイスイ歩けるようになる。あの感覚が楽しかった。あと、ノートに手書きで地図を作ったり。

 

で、ペルソナ3は高校生が主人公で、学園生活で仲間たちとの絆を深めながら、夜は悪魔退治にいそしむというお話。うーむ、純粋に悪魔を勧誘して合体して悪魔を倒すゲームではないのですね。本当によくできていて感心する。面倒くさくもあるけど。カレンダーのようなものがあって、中間や期末テストに向けて勉強をし、部活を二つ掛け持ち、生徒会に入るわ、デートはするわ、友達の約束も多いわ、深夜からは学力を上げるために勉強の日々、気分転換に悪魔退治もする。高校生って、お忙しいのね!そこらへんの会社員の5倍は忙しい。週に2回は忙しすぎて体調を崩し、過労死寸前の主人公である。わたしの暇すぎて死にそうな高校時代とは大違い。ああ、まぶしい‥‥、まぶしすぎて目に悪いわ。

 

適当にプレイするのではなく、カレンダーで予定を立てねばならない。来週からテストだから悪魔退治はやめておいて、昼は図書室で夜は家で勉強で‥‥って、なぜにこんな地味な作業をゲームで。そういうのは現実だけでよいのではないか。などと思いつつも楽しい。このチマチマ感は嫌いではない。

 

でも、ちょっと悪魔合体が物足りない気も。スキル継承もしづらいし、思わぬ強い悪魔が突然できてって感じもないんですね。ステージは新しいところをどんどん進んで行くのではなく、同じ場所を舞台にして時間が経過していく。同じ人に何度も話しかけることになるが、だんだんと関係が深まっていって話が進展するのは面白い。詐欺師だと思っていた人間が意外といい人だったりとか。さまざまな人間関係を深めることで使役できる悪魔(この作品だとペルソナですが)が強くなるという仕組みもよかった。さて、またテスト勉強に戻らねば。忙しい忙しい。

 

 

 

▼なぜ競馬学校には「茶道教室」があるのか。(原佐千江 著)

 

 

「なぜ○○は××なのか」というタイトルの本が多い。ビジネス新書に多いですけども。この本は競馬学校でなぜかお茶を教えることになった先生が出された本。役に立つとか、ものすごく面白いとか、そういった本ではないんですね。まるで著者の日記を読んでいるような感じ。競馬学校での生徒との交流が書かれているものの、競馬の話はまったくといっていいほど出てこないのも面白い。競馬学校という騎手になるための厳しい世界。そんな場所で、まったく違う価値観を持つ先生の授業を受けるということは、思春期の生徒にとってとてもためになることだと思います。

 

武豊をはじめ柴田善臣、田中勝春、横山典弘など競馬ファンなら知っている騎手の名も出るには出ますが、一つ一つのエピソードもそんなに濃いわけでもない。でも、とても読みやすい。小説や評伝というのは、架空だったり他人のことなので離れた位置から書ける。でも、この本は自分のことを書いている。そうするとどうしても著者の性格がしみだしてくる。それは取り繕いようがない。裏切られたり傷つけられたりすると、自分を守るためにどうしても心を閉ざしがちになるものの、この人は常に心が開いているように思える。

 

優しい人柄で、自分の教え子たちのことを本当に心配している。人の喜びを自分の喜びとし、人の悲しみを自分の悲しみとするような。著者の人柄の美しさが読んでいて心地良いのかもしれない。こういう人に憧れます。