玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

このブログの内容はすべてフィクションです

Magic Duels

▼急速にポケモンGOが流行りだした気がする。リリース前はまったく話題にもなってなかったようだけど、わたしが知らないだけかもしれぬ。周りでも、とりあえず一回やってみるという人が多い。わたしだってポケモンGOがやりたい。やる気はある、時間はある、スマホがない。これを機にスマホに買い替えるのはどうかしら。

 

だが、安易に流行に乗るというのも気が進まない。ポケモンGOをやっているという設定で、ポケモンGOユーザーと会話してみることにした。もし、ばれなければ、わたしの勝ちである。これこそ、わたしだけのポケモンGOじゃあい! ということで、やってみたのだけど、まあ、ばれるね。ちょっと突っ込まれると挙動不審になる。

 

そもそもポケモンの名前がわからないんだよ。「何つかまえました?」と訊かれたときに「神々の嘲笑」とか「暗殺者の刃」とか、適当に答えたら全然違った。「はぁ?」って言われたのはいいが、あんなに力のこもった「はぁ?」は昭和から聞いてない。それほどの勢いだった。そんなにすごまなくても、いいじゃないか。相手はおっさんだぞ。いたわってほしい。どうやらポケモン名に漢字は使われないそうです。人はこうして賢くなる。カメックスというポケモンを教わった。で、どこで使うの、その知識。

 

ポケモンGOができない代わりというわけではないがMagic Duels(基本無料)というのをやりだした。飛び先のページは英語ですが日本語環境でプレイできます。トレーディングカードゲームの最高峰「マジック・ザ・ギャザリング」のオンライン版である。生半可な気持ちで手を出すとボコボコにされる。生半可でなくてもボコボコだけど。難しいなあ。たまにしか勝てない。課金せずにやるのは、かなり精神修養になりそう。イライラしたい人は是非。

 

 

▼友人夫婦の家にお邪魔。友人夫婦の子ター坊(中学一年)と話す。

 

これから花火大会だと浮かれていた。「女子も来るの?」と訊くと「女なんか来ないし。男だけのほうが楽しいし」などと不機嫌そうに答えた。出たー! 王道のやつ出たー! と嬉しくなった。

 

ター坊が日記をつけているそうなので見せてもらった。ノートを開くと日付も何もなく「人類の発明」とタイトルがある。「人類最大の発明はインターネットです」と書かれている。日記か、これ。と思うが、自分の考えを唐突に述べてみたくなる気持ちはよくわかるので、こういうのもいいかもしれない。ター坊のすごいところは、ここから自説が延々と続くのではなく、この一行だけで終わっているところだ。

 

「これだけ?」と訊くと、胸を張って「うん。飽きちゃった」と答える。根気を母の胎内に置き忘れて生まれてきたのかもしれない。おまえ、よくそれで「日記を書いてる」って言えるな。ハートの強さがすごい。どこかおかしいのかもしれない。

 

 

▼人類最大の発明は何か、帰り道につらつら考えた。神、宗教、法律、国家、貨幣、言葉などが浮かんだ。でも、こういったものの基本となるのが「それをそういうことにしておくこと」なのではないか。もうちょっとまとまった言い方に直すと「約束」「信用」になるのかもしれない。

 

上に挙げたものは目に見えないものが多い。だが、とりあえずそういうことにしておくと、みんなが決めたことで成り立っている。こういう形の物を机と呼ぼう、椅子と呼ぼうという約束。物を盗んだら窃盗罪で逮捕されるという約束。領土・国民・主権がそろったものを国家とするという約束。この紙を1万円とする約束。みんながみんな、とりあえずそういうことにしておくという約束や信用で運用されている。この約束こそが人類最大の発明のように思えた。

 

でも、インターネットなのだろう。なにせ「人類最大の発明はインターネットです」と言い切ってるからなあ。間違いない。夜店の水風船を一回で5個も10個も釣り上げるター坊が言っているのだ。