玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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地図

▼新装開店する店があり、サイトに載せるための地図を作ることになった。地図など作ったことはないが勘で作る。なんとかなるだろうよ。だってただの地図でしょ、怖がることはない。アライグマの洋服を作ってくれと言われたわけではない。謎のたとえ。他にも、ヒグマの入れ歯を作ってくれと言われたわけでもない、などがございます。謎の品ぞろえ。

完成したものをオーナーに確認してもらったところ、周辺の店に「さん」をつけるようにと言われる。今では常識らしい。いろんなサイトの地図をのぞいてみたら、たしかに「サンドラッグさん」とか「ウェルパークさん」などと「さん」がついている。しかし、店舗に「さん」て必要なのかなあ。周辺の店に本当に配慮しているというより、うちはこれだけ配慮できる店なんですというお客へのアピールを感じる。

わたしに「さん」をつけるように要望したオーナーは、ライバル店の真向いに出店したのだった。当然、地図上ではライバル店にも「さん」をつける。だが、つぶす気満々ではないか。真向いだぞ。笑顔なのに全力で殴りにくる人みたいで怖い。本当に「さん」は必要なのか。

「ぶち殺すぞ、ボケェ」と口汚く罵る人より「お命、頂戴いたします」という人から殺られたほうが嬉しいというのはある。嬉しいのか? そういうことか? よくわからない。

▼映画の感想を書くとき、作品情報を検索していたら出演者やスタッフのツイッターなどに行き当たることがある。わたしにはまったく面白くなかった作品でも、たいへんな愛情を持って作品を作ったのが伝わってきて、後ろめたさを感じることがある。べつに悪口書いてるわけでもないんだけど。感想や批評は、どんな偉そうなことが書いてあっても金魚のフンのようなもので、作品という金魚がいなければ発生しようがない。作品への敬意と感謝を忘れてはならない。そうは思うが、たいてい翌日にはケロッと忘れているところがある。ケロケロ。