玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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原始人

▼出かけるときは印刷した地図を持っていくことが多い。先日、隣席のTさんと打ち合わせに向かったときも、印刷した地図を見ながら目的地にたどり着いた。グーグルマップは使わない。ガラケーだと見づらいのだ。Tさんは笑いながら「なんだか原始人みたいですよね」と言う。誰がウガウガだ。アホか。

「文明が崩壊したときの練習?」などとからかわれる。そうだよ、文明が崩壊しグーグルマップがない世界で、Tさんがわたしにオアシスの場所を訊いたとする。

「ミズ‥‥、アッチノホウ‥‥」と真逆の方向を指し示すだろう。苦しめ、文明人ども。原始人の復讐が始まる。早く文明崩壊しないかな。



▼友人夫婦の家にお邪魔。友人夫婦の子ター坊(小学6年)と話す。

ター坊もこの春、中学生になる。歳月の流れる早さに震える。あれはター坊が小学生になるかならないかの頃だろうか。わたしの仕事を訊ねたター坊に「朝から晩までずっと、彫刻刀でレンコンの穴を空けている。逃げるとゴリラのような看守に棒でぶっ叩かれる」と答えたものだった。「ほじくったほうのレンコンはどうするの?」と訊かれた。

「ほじくったレンコンがその日のご飯なんだ‥‥」と答えると、ター坊は自分の部屋にとって返し、ピンクの消しゴムをとってきた。それをそっとわたしの手に握らせた。これ、食べればいいのでしょうか? 方向に若干のずれを感じたものの、ター坊の優しさを感じた。

あのときの消しゴム、今も大切に持っている‥‥と言いたいところだが、そのときにもらったんだか、返したんだかもわからない。どっかにはある、はず。

ター坊もすっかり大きくなった。今は友達の間でマエケン体操が流行っており、真似をして遊んでいるという。マエケン体操とは、去年まで広島カープにいた前田健太投手がやるストレッチで、肩を後ろから前にグルグルと回すものである。あの奇妙な動きが子供に受けているらしい。マエケン体操をやりすぎて、両肩と背中を痛めたらしい。バカは限度を知らない。まったく成長がみられない。そのまま突き進んでください。
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