玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

このブログの内容はすべてフィクションです

留守番

▼一緒に仕事を請けているN氏の家へ。N氏が実家に帰らなければならない用事があるとかで、飼い猫ホームズの世話を頼まれる。「おまえしか頼める奴がいない。他にヒマそうな奴がいないんだ」という正直な言葉。正直は美徳というがあれは嘘だね。もっと嘘をついてほしい。

名探偵ホームズは痩せているイメージだが、飼い猫のホームズは丸々太った三毛猫で、どうもホームズっぽくない。名推理をしそうもない。食べては寝、食べては寝、も、もしや、おまえ、名探偵ではなく、ただのデブ猫では?

そんなホームズはわたしを警戒するでもなく、ただひたすら寝ている。ご飯の時間になると、わたしのほうにやってきて「ナァ~」と鳴く。わたしを珍しがる様子もない。主人がいないのを訝ったり、さみしがったりすることもない。ホームズにしてみれば「餌をくれるおっさんが、いつの間にか別のおっさんになった」という程度かもしれない。

N氏から様子を確認する電話がある。「ホームズさみしがってない? うるさく鳴いたりしてない?」と何度も聞く。全然さみしそうじゃないし、むしろN氏がいないことに気づいてないかも、などと答えると傷つくような気もする。

「そういえば‥‥どことなくさみしがっているように見えないこともない‥‥」などと、お茶を濁した。「そうかあ! やっぱり俺がいないとさみしいんだなあ!」と喜んでいた。

嘘をついてしまった。



▼で、N氏の家でひたすらアメリカの脱獄ドラマ「プリズン・ブレイク」のDVDを観る。シーズン1は22話あるが、徹夜で観てしまった。N氏が帰るまでに観てしまおうとがんばったが、22話観ても、まったく話が決着しないという。そのままシーズン2に突入である。このままでは、わたしが死ぬ。

ちょっと話に無理があったりもするのだけど、それでも全体的によくできていて登場人物が魅力的。困難な状況を、単に運が良かったとかで解決するのではなく、一つ上の方法で知恵を絞って解決していく。これ、本当に脚本をよく考えましたねえ。

登場人物の大部分が囚人なのだけど、観ているうちに愛着が湧いてくる。看守のベリックも、囚人以上に極悪でたまりませんなあ。
JUGEMテーマ:日記・一般