玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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ゾンビ

▼友人Nと話す。最近またゲームに、はまっているらしい。ゾンビをひたすら撃ちまくって休日をつぶし、夕方になって後悔するという繰り返し。 ついに「このままではいけない」とコントローラーを置いた。だが、それは朝の5時という。元気がありあまる高校生でもさすがに朝5時まではなかなかできない。そして、また起きてゾンビを撃ち続けるらしい。反省のない人生を送っている。すばらしい。 「このままではいけない」とか、嘘だろ。コントローラーを握り締めたまま死んでほしい。 ▼ゾンビと言えば、というのも変な書き出しだが、仕事を請けている先の部長も「ウォーキング・デッド」というゾンビが出てくるドラマを観ている。 先日、電車内でゾンビの話題になった。ゾンビの目の前に、有名シェフが作った料理と人間がいたら、やはりゾンビは人間のほうに行くのだろうか。ゾンビ化すると、味はどうでもいいのだろうか。ゾンビにとって重要なのは鮮度なのかもしれない。 じゃあ、脂身が多く入った柔らかそうな松坂牛の塊と、ゴリゴリでマッチョな軍人だとしたらどっちに行くか。これはねえ、難しいところですよ。松坂牛かなあ。でも軍人は生きてるし。だが、軍人は絶対に堅いしまずい、あと臭い。臭いに決まっている。それでも、柔らかさより鮮度ではないか。 という会話をしていたら、私立の制服を着た賢そうな小学生にゴミを見るような目で見られた。本当にお利口そうな坊っちゃんで。そりゃ、四十になろうかというおっさん同士が「どっち食べる? どっち食べる?」ってワーキャーしてたら気持ち悪い。 だが、聞きたまえ、坊っちゃん。だいたい四十近くなってもこんなもんですよ。三日に一度ゾンビの話をしてますよ。みんなそうなんだ。間違いない。 ▼「生きざま死にざま」三國連太郎 俳優三國連太郎の自伝。父親が被差別部落出身であることが書かれており、実際に自分も差別を受けている。なぜ自分は差別されるのか。三國連太郎は、ただそれだけが知りたくて歴史を学びはじめたのかもしれない。「とにかくそうなっている」と仕方なくあきらめるのではなく、突き詰めてみないと気が済まない人なのだろう。そこから親鸞や法然への興味に繋がっていく。 三國連太郎太郎が第二次大戦に召集された際、一発の銃弾も撃たなかったという逸話も興味深い。もし国が自分にとってすばらしいものならば国のために死ぬというのもわかる。だが、国がなんの根拠もない差別を認め迫害する側にいるとしたら、そのような体制を守るために誰が命を投げ出すだろうか。一度、国が崩壊してしまえばいいと思っても当たり前だ。三國連太郎が戦争に行ったのは、もし自分が徴兵拒否をすれば妹が村八分にされるという理由だった。 「異母兄弟」で老人役に扮するため、歯を10本抜いた有名な逸話も収録されている。麻酔を使うと治りが遅くなるので、嫌がる歯医者を説得し麻酔なしで抜かせたという。恐ろしい話だが、でも戦争を経験しているということが大きいのかもしれない。自分は一度死んだものと考えていたのではないだろうか。 「釣りバカ日誌」の物分りがよくて心の広いスーさんとはかけ離れた三國連太郎の姿があった。

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