玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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祖母の手紙

▼押入れから祖母の手紙が出てきた。祖母にはずいぶんとかわいがってもらった記憶がある。手紙は小学生のわたしに宛てて、ひらがなの多い字で書かれている。祖母がどういう教育を受けていたかは知らない。中学校を出ているかどうかもわからない。

ただ「りっぱな人になってください」と書いてあるのを見ると、申し訳なく思う。アシュレイ・マディソン自己紹介botを眺めて浮かれている場合ではないよ。

わたしが中学に入ったぐらいから、祖母から手紙は来なくなった。もう祖母よりも、友達との関係が密になっているから遠慮したのだろうか。それとも、ひらがなが多かったり、悪筆なのを恥ずかしく思ったのかもしれない。まったくそういうことに思い至らなかった。もっとわたしから手紙を出せば良かったのだ。自分の無神経さが情けない。

祖母の手紙で一番印象に残ったのは次の部分だった。

「しゅんちゃん(わたしのこと)がかっている、あのネズミのようなものはげんきですか?」

おばあちゃん、あれはハムスターといいます。いまや、ハムスターもおばあちゃんも天国でしょうが、おばあちゃんが得意なネズミ捕りでしとめるのは、やめてほしい。
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