玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

このブログの内容はすべてフィクションです

七夕

▼友人夫婦の家にお邪魔。夕食の食材を買いに一緒にスーパーに。スーパーには短冊が飾ってあった。友人夫婦の子シラスちゃん(5歳)も、その場で短冊を書く。

「あしがはやくなりますように」

子供の頃は足の速さに価値があった。シラスちゃんは、自分の短冊を一番手前に掛けようとする。

「神様に見えやすいように」と言っていた。しっかりした子である。神様ではなくて織姫と彦星、と言うと「織姫と彦星って、何やってる人?」と訊かれる。織姫は機織、彦星は牛飼いだったように思う。シラス父はしばらく悩んだ後、きっぱりと「無職! 仕事はしてない」と断言した。堂々と嘘を教える父である。

シラスちゃんは難しそうな顔をしていた。やがて最初の短冊を取り外すと「おともだちとなかよくあそびたい」に替えた。どうやら無職には、最初の願いは荷が重いと判断されたもよう。



高倉健と友達になる夢を見た。しかし、実際に友達になってみると大変なのではないか。高倉健というと、撮影中はスタッフに遠慮して座らなかったエピソードが有名である。立派な人だが、そうなるとつい周りにも自分と同じ振る舞いを求めてしまいそうである。

もちろんわたしが座ったところで健さんは何も言わないだろうが、友達になるとすると座るわけにはいかないのだろう。人は結局、同レベルの人としか付き合えないのだろうか。あまりに相手が立派でも、そうでなくても、その誤差がつらくなる。

自分は立派に振る舞いつつ人に期待しないという姿勢は美しいが、それでもやはりどこかで人に期待してしまいそうなのだ。べつに期待してもいいのか。期待して失望してもたいした話ではない。そもそも、わたしが何か立派な振る舞いをしているわけではないのだった。だいたい健さんと友達じゃないし。じゃあ、なんでこれ書いたの。なんだこれオイ。
JUGEMテーマ:日記・一般