玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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フライパン

▼隣席のTさんがおらず退屈だった。部長の悪口を言えないことが、こんなストレスになるとは。片腕をもがれた気分である。翌日、Tさん出社。片腕復活。着脱自由だとすると、まったく痛くなかったのかもしれない。

聞けばインフルエンザだったという。Tさんは猫を飼っているが、病気の間、猫が看病してくれたそうである。寝込んだTさんの枕元に猫が来て、両前脚をTさんの額に押し当てるらしい。まるで熱を測っているような。鬱陶しさとかわいさの両立、これぞ正しき猫。心配してるのか、餌が欲しいのか、暇なのか、額が温かいから暖を取っているのか、猫のみぞ知る。

Tさんは看病していると言い張っている。そうかもしれないし、そうでないかもしれない。


▼「個性的な人になれ」ということをよく言いますが、岡本太郎の本を読むとそうでもないように思う。あまりに個性的な才能は世間に適合できない。岡本太郎の母、かの子がそうなのだろう。才能を評価するにも、やはりある程度の才能がいる。世間の尺度からはみ出てしまう異質とも言える個性を持つと、世間で暮らすことがとても苦しくなる。天才ゆえの苦しみはここから来る。憧れるわー、そういうの。


▼ロサンゼルス五輪、柔道金メダリストの斎藤仁さんが亡くなったニュースを見る。没後の叙勲受賞となった。毎度思いますが、生きているうちに上げればいいのに。死者は悪いことができないから、安心して勲章を上げられるのだろう。だが、そうなると本人は嬉しくないわけだし、なんのために上げているのかわからない。

勲章の授与については政権の人気取りのためだとも聞くが、こういったことで人気が出るとも思わない。そうすると、いよいよなんのために没後に上げるのかがわからない。勲章の名誉を守るためだろうか。


▼勲章はともかくフライパンが欲しい。ケーブルテレビのCMで観た外国製のものがいい。アメリカのものは、やり過ぎが目立つ。フライパンがいかに焦げ付かないか見せるために、プラスチックのコップを溶かしてみせたり、傷がつかないことを見せるために大量の釘を炒めたりする。

さらに筋肉ムキムキの男がフライパンをハンマーでガンガン叩く。ね、へこまないでしょ?という。どうかしてる。家庭で使っていて、そんな状況にならないだろうが。だが、その過剰さがアメリカ的でいい。欲しい。
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