玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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新年会

▼お世話になっている会社で新年会に出る。年寄りテーブルと若者テーブルに分類されておりましたが、なんとか若者テーブルに入ることに成功した。去年は年寄りテーブルに呼ばれ「誰が一番重い病気を経験したか自慢しあう」という、正月からめでたくもなんにもない始まり方だった。一位の方は胃癌(胃をほぼ切除)を経験し、再発に怯えながら暮らすという話だった。楽しい新年会のはずが、このテーブルだけ店員さんも避けて通る重苦しい空気に。

それに比べると、やはり若者はいいね。みなさんが去年の自分の重大ニュースを発表しているのを聞く。彼氏彼女ができたとか、子供が生まれたとか、海外旅行に行ったとか、食べ歩きをしているとか、香水の調合をしているとか、華やかである。わたしも重大ニュースを訊かれたが、そもそも重大なことなどない人生。考えたがまったく浮かんでこない。

やっと出てきたのが「よく通っていたレンタル店がつぶれた」だった。これが去年の重大ニュース1位である。他にありましょうか。ない。
「え、それが1位ってやばくないですか?」
「よくそれ発表する気になりましたね」
「そんな人生、こわーい」
などと言われる。やつらの食べ物に、今、流行りの異物混入でもしてやろうかと思ったが、やめておいた。大人である。

「おまえら全員、不幸になれ」と言い捨てて年寄りテーブルに移った。年寄りテーブルでは「息子がバカすぎて私立高校にしか行けず学費がかかる」「奥さんが実家から戻ってこない」などなど、マイナスの話題満載であった。ちょうどいい場所がない。


▼テレビを観る。去年辺りから自己礼賛的というか、日本のこういうところがすばらしいという番組が増えた気がする。やはりまだまだ景気が悪いということだろうか。

生活の苦しさ、社会的地位の低さ、認められない苦しさ、そういったものを「日本はこんなにもすごい」から「そんな日本に住んでいる自分もすごい」というふうに置換して満足感を得ているように感じてしまう。ここでいう「ちかん」というのは、あ、そういうのは今いいですか。そうですか。

しかし、ここ一,二年、なにやらきな臭い空気を感じる。
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