玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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喪中欠礼

▼喪中欠礼の葉書が届く。もうそんな時期かと裏面を見るとペットのものだった。ペットの墓、ペットの葬式は知っていたが、そうか、こうきたかという。悲しみの深さを考えるなら、こういうものがあってもおかしくはない。

ちょっと前ならば、こういうのは嫌だったかもしれないが、最近どうでもよくなってきた。もう全体的に好きにすればいいんでないのという心境。こうしなければならぬ、ということは世の中にないような気もする。いつか、ペットが結婚式をあげて人間が仲人をやる日が来るかもしれない。わたしは仲人のスピーチを練習をしている。

「新郎のタマ君は平成26年1月1日に山田家の長男として東京都杉並区1丁目セブンイレブン永福町店の駐車場で拾われました。現在の飼い主山田さんに拾われるまでは、地元の野良猫組合の若頭としてメキメキと頭角をあらわし領土の拡大に貢献。あちらでカラスと生ごみを奪い合ったかとおもえば、こちらでは隣町の猫との縄張り争い、生傷の絶えぬ毎日でした。そんなある日のこと、彼がいつものように縄張りを見回っていると‥‥」

いくらでも書ける。新郎のエピソード、飼い主との邂逅、新婦との馴れ初め。ああ、親に捨てられたタマのトラウマに満ちた幼年期から、若頭として独り立ちした青年期、そして新婦ショコラとの出会いが走馬灯のように浮かぶのです!死ぬのかな?病気かな?狂人一歩手前である。
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