玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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見えない

▼お世話になっている会社で打ち合わせ。

知人のフェイスブックをのぞき見て、その生活の充実っぷりを妬むのが趣味の卑屈くんと話す。卑屈くんは相変わらず卑屈であった。

給湯室でコーヒーを淹れながら女子社員Kさんと雑談をした。席に戻ると卑屈くんがやって来た。

「しゅんさん(わたしのこと)、さっきKさんと話してましたよね?僕、Kさんと、いやKさんだけじゃなくてTさんとかOさん(他の女子社員)とも、もう3年ぐらい話してないんですよ!」

「部署が違うとはいえ、それはなかなかだよね。あれなの?やっぱり宗教上の戒律で女子と話せないとか、そーゆーやつ?」

「そーゆーやつ、とかはないですよ。うーん、何がいけないんでしょうねえ。なんでだと思います?」

「ふつうに話しかけてみれば。今日、寒いですねとか」

「出たー!ふつうに話しかけてみれば!そういう何気ない感じ!僕ができないと知ってて!」

「落ち着いて」

「なんだろ。みんな、もう『僕が見えてない』みたいに動くんですよ」

「見えてない‥‥?あれ、卑屈くん、ひょっとして幽霊なんじゃないの?僕にしか見えてないんじゃ?」

「え、そうだったんですか!僕、幽霊だったんですか。まさかのシックスセンス落ちじゃないですかー!どーしよー!」

「それでかー。打ち合わせでも一言もしゃべんないから。幽霊だからなあ!」

「あれはしゃべれなかったんです。そういうふうに削るのやめてください」

ということをワーキャー言いながら遊びました。晩は寒いのでシチューを食べました。明日もいっぱい遊びたいです。

わたくし、もう38歳になります。ちゃんとした人間になりたい。卑屈くんについては、いつまでも変わらない君でいて、という思い。人に迷惑をかけない変態でいつづけてほしい。
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