玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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稀な人

▼小学生時代の夢を見た。家が貧しくて、姉のお下がりの赤い服しか着る物がなかった。しかたなく、それを着て学校へ行くのだけど友人から「女みたいだ」とからかわれる。そのときに友人の一人がわたしを慰めてくれた。

「戦隊ヒーローだってリーダーは赤だろ。だから気にすんな」
その言葉で救われたような気がしたのだ。問題なのは、わたしに姉はいない。一人っ子だ。なんでしょうか、このちょっとだけいい話。小さい頃に赤い服を着て行ってからかわれたこともない。わたし、お下がりをもらわないからだ。


高倉健さんが亡くなった。出演作をほとんど観たことがなく、たまにテレビで見かけるぐらいだった。あの時代の人はあまりテレビに出ないから、どういう人なのかわかりづらい。それが神秘的でいいのかもしれない。今はよく映画やドラマの宣伝などで俳優が番組に出る。ふつうの人ばかりに見える。ふつうの人の時代になったのだ。

だが、高倉さんはたまにテレビに出ることがあっても神秘性が薄れない稀な人だった。素の面をみてもガッカリしない人というのは珍しい。長嶋さんや王さんにもそういうところがある。世間が抱いている高倉健という像を裏切らないように演じ続けたのかもしれない。そういったことが嫌で降りてしまう人もいる。83歳か。長く生きたんですね。


▼江戸時代から続く埼玉県神川町の「裸まつり」が過疎化、高齢化のために今年で終了というニュースを見た。

男たちがふんどし一つで炊き立ての赤飯を投げるというバカみたいな祭りである。また一つ日本の奇祭がなくなってしまう。本当に悲しい。わたしがこの地方の若者であれば全力で拒否したい風習ですが、ああ、なぜやめてしまうのでしょうか。こんなバカでどうしようもないことをやめてしまうなんて。