玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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映画「グランド・マスター / イップ・マン 序章」

グランド・マスター
一代宗帥 / 2013年 / 香港、中国 / 監督:ウォン・カーウァイ / アクション


チャン・ツィイーのための戦い。
【あらすじ】
南北に分かれたカンフーの流派を統一しようと戦います。で、誰が勝ったんだっけ‥‥。


【感想】
詠春拳の達人イップ・マン(トニー・レオン)を軸に、中国の武術家たちの戦いを描く。

スローモーションとワイヤーアクションを駆使した殺陣と、雨や雪の描写がとても美しい。ストーリーは単純なはずなんだけど、よくわからなかったんですよねえ。ボーっと観てしまった。基本的に最後に立ってた人が偉いのだ。間違いない。イップ・マンも「戦いは縦か横だ」と言っている。縦か横というのは、最後に立っているのが勝者で横たわっているのが敗者という意味。

ちょっと持って回った言い回しが多いのだけど、めんどくさい表現が好きな人にはいいかもしれない。わたしだ。私生活でもめんどくさがられてる。ほっといて。

詠春拳の達人イップ・マンが主役ながら、美味しいところは全部チャン・ツィイーが持って行くという。それでいいんか、トニー・レオン。

大活躍のルオメイ(チャン・ツィイー)。父の仇をとるために女として生きることをあきらめる。格闘場面というのは説得力が重要だと思う。体のキレやバランスももちろん大事だけど、やはり体が華奢では説得力がない。

チャン・ツィイーは痩せすぎている。それなのにまったく説得力のなさを感じさせない。まるで舞を舞っているかのよう。完全に制御された動きの美しさが場を支配している。トニー・レオンが主役のはずなのに、最後の戦いを演じているのはチャン・ツィイーなのもうなづける。

武術にすべてを捧げてきたルオメイの言葉が良かった。
「悔いのない人生というけど、嘘だと思う。悔いのない人生なんてつまらない」

この映画はカンフーアクションがすばらしいだけではない。カンフーにすべてを捧げたルオメイの密やかな恋が良かった。面白かったですが、純粋なアクション物を期待していると、ちょっと違うと思うかもしれません。





イップ・マン 序章
葉問 / 2008年 / 香港、中国 / 監督:ウィルソン・イップ / アクション


【あらすじ】
佛山最強と言われる詠春拳の使い手イップ・マン(ドニー・イェン)。性格は温厚、街の人からの人望もあり、戦えば敵なし、ただし奥さんには頭が上がらない。パーフェクト超人ですなあ!ブルース・リーの師匠イップ・マンの半生。


【感想】
「グランド・マスター」同様、イップ・マンが主人公ということで取り上げてみました。純粋に詠春拳の格闘場面を観るのなら、この「イップ・マン 序章」がいいと思います。なにせかっこいい。ただし、こちらは日本兵がかなり残酷な振舞をするので、フィクションとはいえそういうのが駄目な人はやめたほうがいいかも。

カンフー映画でよく見る道具、木人椿(もくじんとう)。発音は「もっやんじょん」というそうです。ドニー・イェンが木人椿を淡々と叩いているだけで、もうかっこいい!ずるい!わたしもやりたい!憧れるわー。

親は商売に成功して大金持ち、働く必要もなくて豪邸で好きな詠春拳を極め、弟子をとる必要すらない。美人の奥さんとかわいい子供に囲まれ、何不自由ない暮らし。人生チョロイわーってな感じのイップ・マンだったが、日本軍が攻めてきてからは困窮する。

これは本筋とはあまり関係ないのかもしれないけど、イップ・マンが働かないんですよねえ。そこがいい。

自宅はとっくに取り上げられ、明日食べる物もない。奥さんが病気で倒れてしまい、おかゆを作って奥さんに食べさせる場面がある。奥さんは遠慮して「これをわたしが食べたら、あなたと子供の分が‥‥」などと遠慮している。そのときにイップ師匠は「大丈夫だ。僕が働く」と言うのだ。ズコーッてなりましたね。おまえ、今まで働いてなかったんかいという。

そういう人なんだけどさあ。しかし、今日のご飯すらない状況である。この道何十年というニートですらバイトを探すだろう。働いたら負けの精神であるよ。病床の奥さんも「働いたことのないあなたが働くなんて!」と心配している。どんな心配の仕方だ。

いろいろありまして日本人空手家十人と戦うことに。この場面はすごかったですねえ。詠春拳のかっこ良さを堪能できます。

ラスボス役の三浦将軍(池内博之)も良かった。池内さんは柔道経験者で空手の経験はなかったそうですが、最後の戦闘場面は良かったですね。ただ、あれは空手とも違うような気がするのだけど。

卑劣な日本人として佐藤大佐ががんばってくれたおかげで、三浦はちゃんとした武人として描かれている。やはり、悪役の人格がひどいと主人公の価値が下がるので、嫌な部分を佐藤大佐が引き受けてくれたのも良かったと思います。詠春拳の魅力が描かれた、カンフー好きにはたまらない作品です。


イップ・マン 序章がGyaoで無料で公開されています。
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