玉川上水日記

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映画「ジャッキー・コーガン」

ジャッキー・コーガン
Killing Them Softly / 2012年 / アメリカ / 監督:アンドリュー・ドミニク / 犯罪


商売第一、商売繁盛、お金儲けしかない!
【あらすじ】
賭場を荒らされたので、犯人たちを殺します。


【感想】
原題は「Killing Them Softly」。「キリング・ミー・ソフトリー」という映画があるので、混同を避けるため「ジャッキー・コーガン」というタイトルにしたのかなあ。しかし「ジャッキー・コーガンて誰よ」ということである。半沢直樹作戦である。半沢よりこの作品のほうが古いけど。

「ジャッキー・コーガン」はブラッド・ピットが演じる凄腕の殺し屋。この映画は、賭場襲撃事件にかかわった複数の関係者を、それぞれの視点から描いたものです。出番の多寡はあるものの、登場人物全員が主役のような作り。ブラッド・ピットは前半ほとんど出ません。

映画の随所で、ブッシュ元大統領やオバマ大統領のスピーチが流れる。その意味がよくわからなかった。政治への風刺があるのでしょうけれど。映画評論家町山さんの解説を読んで、賭場襲撃事件がサブプライムローン問題を示しているということにうならされた。映画は金融危機についての政府対応への批判ということなのだろうか。こういった読み方はまるでできませんでした。

やけに会話が多いなとか、ブラッド・ピットのリーゼントって初めて観たなとか、レイ・リオッタはいつも悲惨な殺され方するよねーとか、おまえはもう映画観ないほうがいいんじゃないかという感想でしたよ。理解力がないって悲しいね‥‥。

随所に挿し込まれる政治的な批判は、ちょっと押しつけがましい感じもするのです。ここらへんを面白いと思うかどうかは好みですね。

殺し屋の太っちょさん。セックス中毒にアルコール中毒、プラス肥満というコンボ。この人はアメリカの負の面を象徴しているのかもしれない。で、ドラッグ中毒の人もちゃんと登場します。こういった問題が、現在のアメリカを蝕んでいますよということなのだろうか。

こちらは、毎度悲惨な死に方をするレイ・リオッタ。今回は死に方は映像的に美しいのですが、まあよく殴られていました。やっぱり悲惨である。

「アメリカは国家じゃない。ビジネスだ」というすばらしいセリフが出てくる。きっと、これだけが言いたくてこの映画は撮られたのだろう。殺し屋であるブラッド・ピットは一つの共同体として体をなしてない、金儲け第一になっているアメリカを批判する。

だが、ブラッド・ピットは、自らが批判したアメリカ的要素を強く持っている。彼が手配した殺し屋がアル中で役に立たないとわかると、きっちりと自分が代役を果たす。契約をきちんと履行するし、約束事にとてもうるさい。遅刻も認めない。金をもらえば完全に仕事をこなす。たとえそれが殺人でも。実にアメリカ的な殺し屋だと感心した。

映画として好きかといえば、正直なところあまり好きな映画ではなかった。監督の政府批判が強かった。もっとも、アメリカ人はサブプライムローン問題にだいぶ頭にきていただろうから、アメリカ人が観たら印象が変わるのかもしれない。


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