玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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▼まぶたの上に水ぶくれができた。帯状疱疹かと思ったら、そこまで重症ではなくて単純疱疹だという。痛みがともなわないのでありがたい。ただし、右まぶたは敗戦後のボクサーのように腫れている。鏡の前で両の拳をかまえてファイティングポーズをとってみる。何をやっているのでしょうか。

眼帯をして皮膚科へ。4、5歳ぐらいの女の子がやってきて眼帯を指さして訊かれる。「それ、おしゃれ?」「いや、目が腫れてるから、やってるの」「ふーん。痛い?大変?どれぐらい痛い?うちはねえ、弟がシンマジンで来てるんだよ」とよく喋る。

シンマジン‥‥、真・魔人て何かかっこいい気がするが、弟は魔人ではなく蕁麻疹なのだろう。そのあとに「消しゴムか飴、どっちかあげる」と不思議な二択を提示されたが断った。気持ちだけいただいた。抗生物質を飲むと少し腫れが引いたような気がする。


▼見ず知らずの他人が夢に出てくることがある。不思議でもなんでもないように思うけど、けっこうすごいことではないか。脳が夢を作り出すのだから、他人というのも脳に入っているストックから出してくるはずである。だからどこかで見かけているはずであり、完全な他人ということはないはず。

完全な他人を夢に出したいときは、どこから他人を探してくるのだろう。街やテレビで見た人の顔から他人を作り出すのかしら。一度どこかで見かけてはいるものの、忘れてしまっている顔の中から選んでいるのかもしれない。するとその他人というのは、わたし自身の意識では自覚していないが、一度は見かけたことのある他人だ。意識からみると「忘れてしまった人」だが、きちんと脳の在庫にはストックされていることになる。

またしても「で?」みたいな話を書いてしまった。


▼そんなこんなで、脳関係の本を読んでいます。解けなかった問題が朝起きると解けていることがある。材料さえ揃っていれば、寝ている間にうまいこと整理して答えを出す機能が脳にはあるのではないか。そう経験的に思っていた。

今回読んだ本にはデフォルト・モード・ネットワークという言葉が載っている。脳がある特定のことを考えているときと、リラックスしているときを比較すると5%ほどしか活動量が変化しないという。今まではリラックスしているときは何も考えてないとみなされていたが、無意識下でなんらかの作業を行っているらしい。その仕組みをデフォルト・モード・ネットワークといっている。

考えることをやめても、材料さえ放り込んでおけば、無意識下で考え続けて問題が解けることもあるという。もちろん、ふだんから問題に取り組んでいなければひらめきが訪れることはない。アインシュタインは職場である特許局の椅子によりかかっているときに「一般相対性理論」についての考えがひらめいた。わたしは38年間、何もひらめかずここまできている。恐らくなんの材料も頭に入れずにここまでやってきたのだろう。恐ろしい。できるなら、なんの材料も入れないでここまでやってきたという事実を忘却したい。志はどこまでも低い。
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