玉川上水日記

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映画「ローマ法王の休日」

ローマ法王の休日
HABEMUS PAPAM / 2011年 / イタリア・フランス / 監督:ナンニ・モレッティ / コメディ、ドラマ


脱走おじいちゃん。たとえ神が選んだとしても。
【あらすじ】
ローマ教皇に選ばれたが、無理っぽいので逃亡します。

【感想】
原題の「HABEMUS PAPAM」はラテン語で新しい教皇が決まったことを意味する。

ローマ法王とローマ教皇という二つの呼称があります。違いについて、カトリック中央協議会のサイトに説明があった。まとめると以下のような内容。

以前は、日本のカトリック教会内でも混用されていたが1981年のヨハネ・パウロ2世の訪日の際、ローマ教皇に統一することにした。「教える」という字の方が、教皇の職務をよく表すということからマスコミにはローマ教皇を使用してほしいと要望しているが実現していないとのこと。それと、駐日バチカン大使館である「ローマ法王庁大使館」だが、日本とバチカンが外交関係を樹立したさいの定訳が「法王」だったため、そのまま「法王庁大使館」 となっている。日本政府に登録した国名は、実際に政変が起きて国名が変わるなどしない限り変更はできないとある。

ローマ教皇の呼称を推奨しているので、ここではローマ教皇を使うことにします。で、逃亡するローマ教皇の話なのだった。

前任のローマ教皇が亡くなり、枢機卿が集まって次のローマ教皇が選出されるコンクラーベが行われた。まあ、なかなか決まらないんですね。何度も投票をやり直し、ようやく選ばれたのがメルヴィル(ミシェル・ピコリ)。選挙の最中も「自分には無理だから~、無理だから~。神よ、どうかわたしを選ばないでくれ!」と、えらくネガティブなお願いをするおじいちゃんなのだった。神は残酷なのでメルヴィルを選んでしまいます。

ローマ教皇ともなると、何億人もの信者の代表であり、半分神様みたいな扱いになってしまう。恐ろしいほどの重圧がのしかかるのでしょう。人間には向き不向きがあるし、それは仕方のないこと。で、メルヴィルは早々と白旗を上げる。最初の就任演説から、すっぽかす。どこまでも逃げる気である。おじいちゃんの決意は固い。後ろ向きに固い。

困った枢機卿たちは心療内科医を呼んで極秘に治療を行う。でも、悩みを話したくても二人きりにはなれず、枢機卿にずらりと囲まれてしまう。囲み過ぎである。

いろいろ嫌になったので街へ逃げ出してしまった教皇。残された枢機卿たちは‥‥。

バレーボールをして盛り上がってました。のんきだな、オイ!

街へ出たローマ教皇が、街の人に職業を訊かれる場面がある。そこで「役者」と答えたのが印象的だった。若い頃、役者になりたかったというので咄嗟に口から出たのかもしれない。だが、ローマ教皇という今の立場を「役者」と表現したようにも受け取れる。

自分の立場を当然と捉えず「自分などで本当に良いのだろうか」と悩む人は信頼できる。是非自分にやらせてくれというのは、何か信用できない気がするのだ。その点、メルヴィルはローマ教皇になる資格のある人だとも思うのだけど。とにかく逃げる人である。

この映画は最後にとんでもないどんでん返しがある。普通、どんでん返しをくらいますと「なるほどー」と感心するが、この映画の場合「そんなことやっちゃうの‥‥」となってしまった。都合の良い安直なハッピーエンドを避けたかったのかもしれないが、まさかこんな終わり方にするとはねえ。

おじいちゃんがたくさんでてくるので、困るおじいちゃん、追いかけるおじいちゃん、逃げるおじいちゃん、バレーボールをするおじいちゃんが好きな人にお勧めの作品。


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