玉川上水日記

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映画「テッド」

テッド
Ted / 2012年 / アメリカ / 監督:セス・マクファーレン / コメディ

たとえすべてがわからなくても。
【あらすじ】
命が宿ったテディベアと、大人になりきれない男、その彼女。いろいろもめます。

【感想】
少年時代、内向的で友達がいなかったジョン(マーク・ウォールバーグ)。クリスマスに両親から贈られたテディベアのテッドに命が宿るように願った結果、人形は命を持つようになる。ジョンもテッドも成長し、ジョンはレンタカー店に勤務する冴えない男となり、テッドはマリファナ、風俗、酒にどっぷり浸かったテディベアになってしまった。

デリヘル嬢を呼びまくってパーティーを開く熊の図。不良熊だなあ。


働き口を探す熊。スーツを着るとかわいい。しゃべりだすと、完全におっさんなのだけど。

テッドは、テディベアじゃなくて、ジョンの幼馴染でも成り立つのかもしれない。

ジョンとテッドが冗談を飛ばしあっていて、そこにジョンの彼女ローリー(ミラ・キュニス)が入っていくのだけど、うまく入れないんですよね。冗談を言っても、二人から「それは違う」と否定されてしまう。中学や高校の頃は、異性といるより同性といるほうが盛り上がったりしますが、ジョンとテッドは大人になった今でも、その空気が続いている。

この感覚があまりにもわかりすぎるのが怖い。わかる人間て、ちょっと駄目なんじゃなかろうか。わからないほうがまっとうな気がする。もうねえ、このジョンの楽しそうな顔とか。彼女は大事なのだけど、きっとテッドといるときが一番楽しいのだろうなあ。わかるわあ!

とても面白いコメディだけど、コメディというのは、その映画が作られた地域・同世代でないと、完全に理解するのが難しい。アメリカ人にしかわからない言葉を、ゆるキャラの「くまもん」「星一徹」「キラキラネーム」など、日本人でもわかるような言葉に置き換えて翻訳している。翻訳者の苦労が伝わりますねえ。

ハリウッド映画にくまもんが出るわけもないから、くまもんと字幕が表示されたときに、一瞬、これは元の言葉はなんだろう?と考えてしまう。そうなると、映画の内容から注意が逸れてしまう。そういったズレが随所に起きる。もうこれは英語話者になるしか、解決できない問題かもしれない。

がんこ親父を表す「星一徹」という翻訳にも考えさせられた。「巨人の星」という漫画をリアルタイムで観ていないけど、たぶん三十年以上前なんですよねえ。だいたい星一徹がどんなのかは想像はつく。ちゃぶ台を「どりゃー!」って、ひっくり返して怒る人なんでしょ。よく知らんけど。でも、がんこ親父の表現が「星一徹」を使わざるをえないことが、すごい。

日本にはここ三十年ぐらい、星一徹以外のがんこ親父が登場しなかったということになる。小林亜星が演じた寺内貫太郎がいるけど、あれも1974年放送開始なので三十年以上前である。日本では、がんこ親父は絶滅したのかもしれない。などと思うと、笑わせる場面でも、ふーむとなってしまい、なかなか素直に笑えない。

ごちゃごちゃ書いてしまいましたが、全部わからないにしろ(フラッシュゴードンとか)、やっぱりよくできた映画だと思います。面白かったですし。ただ、下ネタが激しいので、誰かと観るときは注意したほうがいいかも。


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