玉川上水日記

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映画「ハプニング」

ハプニング
The Happening / 2008年 / アメリカ / 監督:M.ナイト シャマラン / ミステリー


シャマランぽさとは、なんなのか。
【あらすじ】
突如として人々が自殺を始めた。工事現場では飛び降りが起き、警官は銃でみずからの頭を撃ちぬく。テロリストが撒いたガスが原因なのか、新種のウィルスなのか、憶測が飛び交うが原因は不明。どこへ逃げていいのかもわからないまま、人々は逃げ出す。

【感想】
シャマラン監督というと「シックス・センス」の印象が強い。「シックス・センス」を当たりと考える人は「次こそはシックス・センスみたいなものを!」と求めるから、他のシャマラン映画はみんなハズレになってしまうかもしれない。だいたい、ヘンテコなのをぶち込んでくるのです。今回も「何か」が突然始まって、突然終わる。実にシャマランぽいですねえ。

映画の中で何度も「自然界のことは科学では完全に解明できない」と言われる。原因と結果の因果関係というのはあって当然と思われている。理由がなく何かが起きて、理由もなく解決するというのは、現実にはあるかもしれないがスッキリしない。この映画も、人々が突然自殺しだす。で、その自殺現象はやはり突然終わる。そこに説明はない。

本当はすべての現象に理由があるかもしれないが、その真実に人間がたどりつけるかはわからない。シャマラン監督は「シックス・センス」でヒットを飛ばしたものの、以降はわりと同じテーマ「唐突に何かが起きて何かが終わる。人には理解できないものがある」というのを撮り続けているように見える。むしろ「シックス・センス」のわかりやすさこそがシャマラン監督の中では異質で「サイン」や「ハプニング」こそが監督の撮りたいものであり、シャマラン映画の本質なのではないか。面白いかは別ですけども。

今回の主役は、理科教師となったマーク・ウォールバーグ。映画「ザ・ファイター」ではボクサー役を演じました。海兵隊とかが似合いそうなんですけども。見よ、この上腕二頭筋の太さ!それがなぜか、理科教師。世界最強の理科教師になれる。

謎の起用ですねえ。この映画では特に筋肉の出番はございませんでした。マーク・ウォールバーグは、WWEのプロレスラーであるジョン・シナにすごく似ていると思う。

影武者レベルに似ていると思ったが、並べてみると、そうでもなかった。いや、でもかなり似てるんですよ。入れ替わってもわかんない。もし、ジョン・シナを映画化するときはマーク・ウォールバーグでお願いしたい。話が逸れた。

そんなマーク・ウォールバーグの奥さん役は、映画「(500)日のサマー」のヒロイン、ズーイー・デシャネル。この人、毎回変わった女の人をやりますね。今回も変わっていた。マーク・ウォールバーグと、田舎のほうに逃げるんですが、この二人は夫婦仲がうまくいっておらずケンカ中。

で、避難していてテンヤワンヤの中、奥さんが「実は残業で遅くなるって言ったあの日、同僚(男)とデザートを食べていたの!」と告白。もうね、どうでもいい。だって、原因不明の怪現象で、何万、何十万という人が死んでいる。目の前で人が死にまくってるときに、同僚とデザート食べてた話を反省されても。人によっては浮気ですら、どうでもいいというかもしれんが、デザートて。「今それ言う!?」って、画面の前でズコーってなりました。椅子からずり落ちかけたわ。

この非常時にそんな話?と思いますが、現実にこういうことが起きると、心残りなく死にたいという気持ちが強くなるのでしょうか。案外リアルなのだろうか。ほんとどうでもいい話ですけども、このデザート話にかなりの時間がとられてるんですよねえ。謎である。

そして、避難先のおばあちゃんもいい味だしてましたね。ホラー映画によくいる、気味の悪い住民である。この怪現象とは関係なく、ちょっと怪しい人でした。菓子に手を出した子供の手をひっぱたく場面は、ゾッとした。

マーク・ウォールバーグが「木が人間の数を感知してこの現象を起こしている!少人数なら大丈夫だ!」なんてことを言う場面があるのですが、おばあさんはその直後に一人で発狂というのが面白かったですね。オイオイ、人間の数、関係なかったんかーい!という。

観てる側は「わけわからん」となるのだけど、この映画のテーマが「自然界には完全には解明できないことがある」だとすると、納得のいく合理的なオチがつかなくても当然ということになりますね。納得できる終わりなら謎が解明されちゃうだろうし。だから構造上、スッキリすることはない。

ヘンテコな終わり方だから、シャマラン監督は、またみんなに怒られてるんだろうなあ。そう思ってアマゾンの感想を見てみたら、やっぱり怒られてました。なんだこれー!って、言いたい人にはお勧めです。モヤモヤした終わり方だよ。


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