玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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許可

▼最近は日記に、友人夫婦の子ター坊(小学4年)のことばかり書いていた。これはまずい。本人の特定がほぼ不可能とはいえ、人の家の子について無断で書いていいわけがない。あと、観察日記みたいで失礼ではないか。

だから書くのをやめようかと思ったが、あれほどの珍獣はそうそういないので、もったいない。ター坊の両親と本人に許可を取れば問題あるまい。ター坊家に行ったとき、それとなく許可を申請した。

「今度さあ、ブログ始めようと思うんだけど」
「へー。今頃、ブログねえ。日記の代わりか?」
「そうそう、そんな感じ。この家のことも書いちゃおうかなあ‥‥」
「どーぞ、どーぞ、ご自由に」

というわけで、友人であるター坊父から許可を得た。これで万事大丈夫。訴訟に発展した際には、これで戦える。今後は晴れて好き勝手書ける。あることないこと書けるはず。あと、今まで書いてきた何十日分かについては時効ということで許してもらいたい。

日記のことを告白して許可をもらうどころか、嘘に嘘を重ねてしまったようだが気にしない。今日は耳もよく聞こえるし、実に晴れやかな気分。どうもこんにちは、佐村河内と申します。

▼こうやって時事的なことを絡めると、そのときはいいんだけど、後で読んだときにわけがわからないんだよなあ。時事的な事柄が入れば入るほど文章が朽ちるのが早くなる。普遍的なことを書くには時事的なものを省くにかぎる。

もっとも、それはちゃんとしたことを書く人の場合ですけど。わたしは、パチンコのチラシの裏にでも書けばいいことしか書いてない。

▼友人夫婦の子ター坊(小学校4年)は、洗面器に雪を山盛りに持ってきた。その雪をこねて、掌と同じぐらいの長方形を作り出した。

「これ、なんでしょーか?」
「何って‥‥。弁当箱かな?」

ター坊は、眉間にシワを寄せて「チッチッチ‥‥、わかってないですね‥‥」と人差し指を振る。鬱陶しい。

「正解は何?」
「正解は‥‥、ipodでーす」
「え、そんなの四角かったらなんでも言えるじゃん」
「わかってないなー。色が白でしょ」

言われてみれば、納得しないこともない。

「じゃ、次のもんだーい」と、ター坊が雪を固めて作り出した。またしても、先ほどと同じような、掌と同じぐらいの長方形の雪の塊である。どう見ても、さっき作ったipodと同じだ。

「こ、これは‥‥、わかった!ipodナノか、ipodミニだろう!」
「ブー!違いまーす。正解は弁当箱です!」
「お、おまえ、さっき色が白いからipodって言ったじゃないか!」
「うん。だから、正解は白い弁当箱」

どうも納得がいかない。小4に、いいように言い負かされている。わ、わしはもう引退したほうがいいんじゃろうか。

▼本当はいくつか書きたいことがあったのに、余計なことをダラダラ書いただけでまったく本題にたどり着かなかった。本題を書こうにも、ある程度書いてしまうと「書く欲」が満たされて「まあ、いいか」という気持ちになる。書きたいことを書くコツは、余計なことを書かないことではないか。当たり前だが。

ある程度、文字が並んでいると達成感が発生してしまう。えーと、じゃあ、今日書いた分を試しに一回全部消してみる?いやあ、それはちょっと気が進まないわー。

進むも引くもできず、めんどうだからこれでいいことにする。
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