玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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はないちもんめ

▼仕事を請けている会社で打ち合わせ。隣席のTさんに「で、今年はチョコいるんですか?」と訊かれる。

いかに義理チョコといっても率直すぎやしないか。ビジネスチョコとわかっていても「え、ひょっとしてこれは‥‥、いやいや、まさかそんなバカな‥‥、だが、そういえば以前から‥‥、こ、これはそういう?そんなわけないかー!」という葛藤を生じさせたいじゃないか。義理チョコの心得がわかってない。

「そういうことだから結婚できないと思う」というセクハラを繰り出したところ、ひどい目にあった。暴力を振るわれたりもした。もう2月か。

▼家の近くに保育園がある。前を通ったときに「か~って嬉しいはないちもんめ」という歌が聴こえてきた。二組に分かれて、じゃんけんをして人を取り合う遊びである。子供の頃、あの遊びが嫌いだった。

自分が選ばれないから嫌いなのではない。そうではなくて、あれは結局、じゃんけんをやっているだけである。歌も無駄だし、手をつないで奇妙な踊りをするのも無駄である。ゲームの勝敗が運まかせで戦略性がない。

もちろん丸っきり意味がないということではない。一緒に手をつないで体を動かすだけでコミュニケーションが取れ、親しくもなる。当時はそういうことがまるでわかっていない。歌って踊る無駄さだけが目についた。それならば、ただじゃんけんをすればよいではないか。そう思ったわたしは、保母さんに「はないちもんめは無駄だからやりたくない」と言った。なんて嫌な子供だ。そんな子供とは口もききたくない。当然、わたしの抗議は聞き入れられなかった。

その話を隣席のTさんにしたところ「当時から、めんどくさい人だったんですね」と言われた。「当時からってなんだ、オイ」と言おうとしたが、そこで抗議するとめんどくさい人っぽいので「そうです!当時からめんどくさかったんです!」と認めたところ、余計めんどくさい感じの人になった。正解が見つからない。
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