玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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偽装

▼ここのところ、毎日どこかで食品偽装のニュースを見かける。偽装はいけないことだが、本当のところは芝海老だろうがブラックタイガーだろうが気にもならない。というか、わたしにはわからないと思う。わからないという揺ぎない自信すらある。おまえはザリガニでも食べてろという話ですが。

隣席のTさんは、偽装があったというリッツ・カールトン大阪内の中華料理店に行ったことがあるという。「高かったのに信じられない!」と怒っていた。「どうせ、わかんないんだし、そんな怒らなくても」と言ったら「そういうことではありません」と怒られた。そうですよね。そういうことじゃないもんね。申し訳ございません。リッツ大阪とは何も関係ないが、お詫びした。

偽装でちょっと思い出したことがある。大学時代にSという友人がいた。彼には、半年ぐらい付き合っている彼女がいた。だが、手を握ったりするぐらいがせいぜいで、深い関係にはなっていなかった。Sはのんびりしたところがあるので、別段焦るでもなく、ごく自然に付き合っていた。

ある日、Sは「ついに彼女の家に泊まりに行くことになった」と浮かれていた。後日、Sに会ったとき様子を訪ねてみた。あごに手を当てて少し考える仕草をした後、「実は、彼女は女じゃなかった」と言った。外見こそ女だったものの、ずっと女のフリをしてSと付き合っていたという。

なんと言っていいのかわからなかったが「そりゃ、また難儀な話だねえ」と言うと、Sも「そうよ。難儀な話なんだよ」と他人事のように返した。そんな大変な隠し事をされても、たいして怒らないというのがSの偉いところである。ふつうは動揺するし、怒りもするだろう。彼女とは「いろいろがんばったが駄目だった」らしい。

ということを思い出したので、エビの偽装ぐらいでは怒るまいと思いました。エビと聞いていたのに、ガリガリくんの梨味が出てきたら怒ってもいい気がする。
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