玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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ヘラクレイトスの川

▼お世話になっている会社の部長が、お笑い芸人のスギちゃんの真似をしている。スギちゃん、最近お見かけしないが元気なのだろうか。それとも、わたしが見かけないだけで、ちゃんとテレビには出ているのかな。

スギちゃんといえば「ワイルドだろ~?」というギャグでブレイクして、流行語大賞を受賞した。部長はテレビを観ないのか、ずっと「ワイルドだな~?」と言い間違えてきた。わたしも「部長、それは『ワイルドだろ~?』です」と訂正するのもバカらしいので、ほったらかしにしてきた。

結果「ワイルドだな~?」を聞き続けることになった。たまにスギちゃんを見かけて本家の「ワイルドだろ~?」を聞いたとき「スギちゃん、間違ってる」と思うようになってしまった。重症である。

今ではスギちゃんがいなくなり、部長が残った。そして部長は「ワイルドだな~?」を言い続けている。ここから何か教訓めいた話に繋げようとしたが、やっぱり無理だった。だって、部長がただ「ワイルドだな~?」と言い続けているだけの話である。むしろ、よくこれを題材に日記を書こうとしたな、オイ。

▼いつの間にか秋も深まった。楽しみにしていた野球も、セは巨人、パは楽天に優勝が決まった。面白いもので、ファンというのは応援するチームを変えることは普通はしない。その競技自体に興味を失って観なくなるというのはある。

一本の川が流れているとします。川は絶えず新しい水が流れているが、その水は昨日と今日では違う。だが川の名前は同じである。わたしは中日ドラゴンズというチームを応援し続けてきましたが、今の中日の在り方というのがどうもちょっと違うのではないかと思っている。中日出身者でスタッフを固め、優秀な他球団出身のスタッフを排除する排他性に嫌気がさしたのである。その結果、12年ぶりのBクラスに転落した。

わたしが小さな子供なら「今年の中日はダメだったー。また来年だな」としか思わないが、歳をとると「思想が受け容れがたい」とか「哲学が合わない」とか言い出すからめんどくさい。だが、思い出してみると小学校高学年の時点で「あいつとは哲学が違うから、うまくいかん」と言っていた気がする。考えてみると気持ち悪い子供である。わたしの悪口はやめろ。

もう、これからは川ではなく水そのものを応援しようと思う。中日なら山本昌、岩瀬、浅尾、横浜なら三浦。だが、贔屓のチームがないというのもなんだか悲しい話。