玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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マウスを買う

▼会社で使っていたマウスが壊れた。マウスというのは口のことではなく、ディズニーランドで活躍する人型ネズミのほうでもないパソコンの入力装置のマウスであるからして、その説明いるー?

いらない。さて、わたしは今までロジクールという会社のマウスを使っていました。10000円近くするものです。最初は家で使っていたが、使いやすいので会社に持ってきて使っていた。「マウスにそんなにお金をかけるなんて」と、隣席のTさんが言う。しかし、武士にとって刀が魂ならば、企業戦士にとってマウスが魂ではないですか! などと熱弁しましたね。このわたしの仕事に賭ける姿勢を見よ。

そこへ、知人のフェイスブックの交友関係が充実しているのを見て妬むのが趣味の卑屈君が通りかかった。マウスが壊れたので新しいのを買う話をすると「会社じゃ、ゲームをやらないんだからロジクールじゃなくてもいいんじゃないですか」などと言う。

FPSという一人称視点の撃ちあいゲームをやる場合、精密な操作が必要なのでロジクールのようなマウスがいい。当然、仕事用ではない。どうでもいいんだよ、仕事は。MS(マイクロソフト)使っとけ。MSならとりあえず間違いないから。

卑屈君に「5ボタンで横スクロールが付いてる1000円ぐらいのマウスでいいかなあ」と話していたら、隣席のTさんの視線に気づいた。「武士にとって刀は魂じゃないんですか」などと冷たく言う。また、あなた、ずいぶん固いことを。

刀というのは、相手の刀と打ち合えば刃こぼれし、体を切れば切れ味も落ちる。だから、戦国時代は刀を何本も担いで戦場に行ったという。刀は消耗品だったんですね。それが平和な江戸時代になり、刀が実用で使われることが少なくなって「刀は武士の魂」という価値観が出現する。昔は消耗品だったのに。マウスだって消耗品であると、さっきまでとは真逆の意見を言ったときのTさんの視線の冷たさといったらなかった。

人はだまされて強くなる。

▼7年後にオリンピックが東京で開催されることになった。ニュースで伝えられる喜びの映像を見て、なんだか怖くなる。あんなに大勢の人が喜んでいるのに、わたしにはその意味がわからなくて、置いてきぼりの気分というか。なぜあんなに嬉しがっているのだろう。

もうすでに開催したことのある日本ではなく、トルコでやればいいのにと思う。みんなそんなに日本でやりたいのだろうか。電話アンケート(わたし調べ)を三人に行ったところ、いづれも「どうでもいい」というものだった。なかでもN氏は「オリンピックもどうでもいいが、わざわざそれを訊いてくるオマエがどうでもいい」というものだった。確かになあ。

スポーツが生で見たいという人はいいとして、経済効果、景気、株価がどうとかいう人は、直訳すれば「お金がほしい」と言っているだけだ。それはオリンピックとは本来関係のない話である。あの熱狂的な喜びの裏に、わたしの知らない何かがあるのだろうか。わたしだって甘い汁を吸いたい。チュウチュウ吸いたい。

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