玉川上水日記

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映画「ミラージュ」

ミラージュ
Mirageman / 2007年 / チリ / 監督:エルネスト・ディアス=エスピノーサ / アクション

わたくし、変質者ではございません。
【あらすじ】
スパイダーマンじゃないよ、ミラージュマンだよ!

【感想】
はじめてチリの映画を観ました。あまり知らない国の映画というのはいいですね。独特な文化を感じられる。話はとても単純で、バットマンのようなヒーロー物。

ただ、コメディタッチなんですけど、話にとても重い部分があって笑っていいのかどうかわからないところがある。主人公の両親は強盗に殺され、弟はレイプされて精神に異常をきたす。こんな悲惨な状況なのに、なぜコメディにしましたか。

主人公は弟の治療費を稼ぐため、クラブの用心棒をしている。とにかく無口なんですよ。脇役が全部喋ってくれるので、話が進んでいく感じ。

予算がないのか、CGなどは一切使われない。ところどころ、格闘シーンで早送りのような効果があるのですが、なんだか学生が趣味で撮っている自主制作映画のような匂いがする。じゃあ、駄目かというとそんなこともなくて殺陣シーンはすばらしい。そのチグハグさが魅力なのかな。とにかく主人公の体の説得力がすごい。本当に格闘技をやっている人間なのではないか。

ふつう、ヒーローといえば敵を鮮やかに倒し「おケガはないですか?」という、例のさわやかな感じ。後楽園遊園地で僕と握手!という。最近あのCM観ないけど。ミラージュマンは、変なかっこうなんですけど格闘シーンが本格的。とにかく痛そう。

あまりヒーローがやらない、相手を掴んでからの顔面へのヒザ蹴りとか、馬乗りになって執拗に殴るなど、ま、まあ実戦ていうのはそういったものだろうし、誰かを守るためには仕方のない話なんだけど。最終的には相手の首をナイフで切り落とす。それ、ヒーローがやったらマズイやつだと思います。えぐい。えぐすぎるよ、ミラージュマン!

街を救うヒーローとしてインタビューを受けるミラージュマン。どう見ても不審者でしかない。

笑いの部分で、チリと日本は少し違うのかと感じる部分がありました。街中で、ひったくりが財布を取った後、逃走する。それを追う主人公。引ったくりは追っ手をまいたと思って、路地裏で仲間と談笑している。そのままやっつければいいのだけど、わざわざミラージュマンに変身するために着替える。

ズボンが引っかかってうまく脱げなかったりして時間がかかる。で、日本映画ならば、ようやく着替えて、いざ引ったくりの元へ戻って「おい、おまえたち!」と言ったら、すでに誰も居ないというのがパターンである。でも、引ったくりがいるんですよね。ごくふつうに談笑を続けている。そこにビックリした。いるんかーい!ってなる。

やっぱりちょっと笑いの感覚が違うのだろうか。アクションコメディなのに、みょうに静かな印象があるのも面白い。他のチリ映画も観たくなりました。


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