玉川上水日記

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映画「4デイズ」

4デイズ
Unthinkable / 2010年 / アメリカ/ 監督:グレゴール・ジョーダン / サスペンス


拷問は肯定されるか。
【あらすじ】
拷問、拷問、また、拷問。

【感想】
あらすじに書いたのは、その昔、中日ドラゴンズの権藤投手が毎日のように投げ、それを「権藤、権藤、雨、権藤」と評されたのをもじりました。わかりづらいわ。この段落、完全に必要ない。次の段落から読んでくださいねー。

実際、かなりの場面が拷問という、ちょっと変わった映画。いたい!いたい!いたーい!

アメリカ政府にテロ予告が届き、スティーブン・アーサー・ヤンガー(マイケル・シーン 写真右)というイスラム系アメリカ人が逮捕される。この人「クィーン」でブレア首相を演じていますね。首相からテロリストに。波乱の人生。

国内のどこかに核爆弾が仕掛けられ、4日以内に爆発する。その爆弾の所在を吐かせるためにプロの特別尋問官H(サミュエル・L・ジャクソン)が呼ばれる。どうですか、この貫禄。これで新入社員なんです。(ウソ)

サミュエル・L・ジャクソンて変な役を引き受けますが、この映画ではまあ怖い役でしたねえ。悪サミュエルが観られます。

FBIからはこの事件の捜査にヘレン・ブロディ捜査官(キャリー=アン・モス)があたる。マトリックスに出ていましたね。組織の上層部に隠し事が多く、下まで情報が降りてこずにイライラする感じとか、実際こういうのあるんだろうなと思わされました。「事件は現場で起きているんだ!」って、世界陸上の司会者も言ってたしなあ。変な書き方するとファンの人から怒られる。わ、わたしだってファンだよ!東京ラブストーリーも観たし!

よし、これで怒られない。で、サミュエルが挨拶代わりに、犯人の指を切り落として拷問が始まります。え!そこから?っていう。だだだって、指を切り落とすってかなり後の段階じゃんかあ‥‥。それをコンビニにじゃがりこを買いに行く感じでやられると‥‥。わたしは、かなり引いた。

実際、拷問シーンは多いのだけど残酷さは主題ではないと思う。恐怖を煽り、より残酷に撮ることもできたはずだけど、意外とサラッとしてるんですよね。痛そうだけども。核爆弾によるテロで何百万人も死ぬ危険があるとして、はたして犯人を拷問をして情報を訊きだすことは正しいかと問われている。

FBIのブロディ捜査官は、最初こそ拷問に反対している。彼女は人権を守ろうとするし「拷問による自白には信憑性がない」と主張する。しかし、Hは「ならば、なぜ人間は昔から拷問を続けてきたんだ」と黙らせてしまう。ブロディも、タイムリミットが迫る中、拷問を黙認せざるをえない状態に追い込まれる。

周りにいた人間たちは拷問の残酷さに目を背けるくせに、拷問してさっと口を割らせろとHに迫る。勝手だわー。

そんな中、犯人が爆弾の位置を教える代わりに出した要求が興味深かった。すごくまっとうな要求なんですね。中東のアメリカ傀儡政権への武器供与の禁止と、中東からのアメリカ軍の撤退。意外にも正当な要求のため、拷問していたHも「その要求、呑んじゃえば?」となってしまう。上層部は、そんなことを認めるはずもなく拷問は再開される。

犯人は口を割らず、彼の家族が連れてこられるのだ。テロリストというのは、どんな罰を受けても仕方がないように思うが、それが家族ならばどうだろう。子供ならばどうだろう。そこまでこの映画は追及している。

ここからは現実の話ですが、アメリカは、イラクやアフガニスタンで拘束した容疑者をキューバのグアンタナモ基地で拷問している。キューバなら、アメリカの法律の適用をまぬがれるからである。

拷問について安全なところから批難するのはたやすい。だが、人権を蹂躙し、違法性はあるものの、拷問が爆弾テロなどによる犠牲を防げるとすればどうだろう。容認されるべきなのか。こういった問題にすっきりとした正しい回答などあるはずがない。興味深い映画でした。痛いのが苦手でない方なら、どうでしょうか。


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