玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

このブログの内容はすべてフィクションです

映画「アバウト・シュミット」

アバウト・シュミット
About Schmidt / 2002年 / アメリカ / 監督:アレクサンダー・ペイン / コメディ


ジャック・ニコルソンの顔芸。
【あらすじ】
最愛の娘が、よくわからん怪しい男と結婚します。彼の家族も怪しい。ニコルソンがプンプン怒るぞー。

【感想】
保険会社を定年退職した平凡な男ウォーレン・シュミット(ジャック・ニコルソン)。退職後の新しい生活は退屈きわまりない。まだ十分元気で働けるんですね。仕事を引き継いだ社員から「いつでも会社に来てください」と言われるが、実際に様子を見に訪ねると邪魔にされてしまう。妻や友人たちと話しても、おしゃべりの輪にうまく入れない。妻についても、定年後あらためて見ると不満が湧き上がってくる。新しい生活にうまくなじめず、自分の存在意義について考えてしまう。

主人公ウォーレンが、本当によくある「わたしたち」なのだ。つまらない見栄を張ったり、社交辞令にうんざりしたり、人を見下したり、他人の価値観を受け入れがたかったり、だが、それを露骨に表現することはしない。内心はともかく、表向きは物分りの良い「いい人」を演じている。アメリカ人というと派手で陽気なという印象が強いですが、やはりこれって万国共通の悩みなんでしょうねえ。

ウォーレンは一般的なアメリカ人よりも、ちょっと陰気で近寄りがたく見える。

結婚前の娘夫婦と、その友人親戚が集まった食事会がある。ウォーレンも参加している。友人の一人が立ち上がって、感無量という表情で話を始める。それがいかにもアメリカ人が好みそうな話なのだ。「僕は、この二人(結婚前の娘夫婦)を見ると、僕の両親のことを思い出すんだ。きっと君たちはすばらしい夫婦になると僕は確信している。きみたちはー」みたいなやつである。内容は忘れてしまったけど。

このとき、集まった人々は内心はどうあれ感動した様子で聞き入っている。ウォーレンは、前日に寝たベッドが体に合わず腰を痛めていた。だから鎮痛剤を飲んでいた。そのせいか、せっかくの感動的なスピーチのはずが、ものすごく眠そう。白目をむいたまま、首をグルングルンまわしているのである。「もう、こんな話、聞いていられるか。早く終われ」という。ちょっと笑ってしまった。

右は娘の結婚相手の母親役キャシー・ベイツ。ミザリーの怖い人です。すごい脱ぎっぷりなのだった。アンジェリーナ・ジョリーやスカーレット・ヨハンソンなどが脱ぐと、こちらも「わーお!」という気分になります。なりますよね?なって!

で、キャシー・ベイツがバーンと脱いで、大事なところも隠さずに力士のように堂々と風呂に入ってくる。どすこーい!という感じで。これは、笑ってしまった。女性というより、松村邦洋さんが脱いだときと、同じ反応になってしまった。全裸の迫力に笑った。

物語自体は大笑いするようなコメディではないのだけど、身の周りによく起こるトラブルや笑いが数多く入っており、ちょっと皮肉的に描かれている。ウォーレンは他人だけでなく、自分自身にも失望している。同じ名前で、オマハの賢人といわれるウォーレン・バフェットのように成功したかったが、ただの保険屋で終わってしまった。そういったことを認められずに生きているつらさは、誰にでもあるのかもしれない。彼が自分を認め、人を認めていく様子は良かったですね。結婚式の場面はどうなるものかとヒヤヒヤしますが、いい場面でした。

予告編には、ラストシーンがばっちり映ってしまっていますので、ご覧になる方は最後まで観ないほうがいいかも。しかし、ラストシーンを入れてしまう予告編てけっこうありますね。いかんです。


JUGEMテーマ:映画