玉川上水日記

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映画「崖っぷちの男」

崖っぷちの男
MAN ON A LEDGE / 2012年 / アメリカ / 監督:アスガー・レス / サスペンス


トントン拍子の物語。
【あらすじ】
ダイヤ強奪の冤罪を証明したいので、高い所からうったえます。「僕は無実だー!」「いいから、早く飛び降りろ~」って、みんな、ひどい。

【感想】
サスペンスということでネタバレはなしで。この映画は、シチュエーションスリラーの一種ですね。とても制約が多い条件のなか、どう知恵を働かせて困難な状況を切り抜けていくのかが醍醐味。好きなジャンルです。

が、とてもうまい具合に話が進んでしまう。「そ、そんなうまくいくわけが!」という展開が多い。うまくいくのだった。いきまくりと言ってよい。ご都合主義といえばそうですし、観客と作り手の頭脳の攻防もない。条件がオープンになっていて、そこから考えるのではなく、実は主人公はこういう準備をしていてと、後から明かされてしまう。

確かにフェアではないものの、特にそれが嫌でもないんです。展開が速く、話も面白いので引き込まれる。主人公は元刑事のニック(サム・ワーシントン)。ワシントンじゃ、いかんのか。これからはワシントンD.C.もワーシントンD.C.なのか。どうでもいい。

そんなどうでもいい人に呼び出されたのが女性刑事リディア(エリザベス・バンクス)。この人は一ヶ月前、自殺志願者の説得に失敗しており、その志願者は橋から飛び降りて死亡。そのことを気にしている。

ニックは、その事件を知っており、わざと彼女を交渉役に指名したのだった。うーん、なんたる性格の悪さ。

主演の二人の役者ははじめて観たのですが、どちらもとても良かったですね。彼女の上司も良かった。ちょっと嫌味なんだけど、いい人。

ニックの弟ジョーイ(ジェイミー・ベル、写真左下の男)と、その恋人アンジェラ(ジェネシス・ロドリゲス、写真左下の女)。弟は、映画「リトル・ダンサー」の主演の男の子です。あれま、ずいぶん大きくなった。態度も。机に足なんか乗っけちゃって。

この弟チームが作品で重要な役割を担っている。でも、なんだか頼りないし、仕事を頼むには不安な人だよ。崖っぷちで駆け引きをしている二人と違って、弟チームはコメディ要素の強い部分を担当。それが、作品の緊張感を削いでるように見えた。でも、その緊張感のなさのおかげで、ご都合主義が許せてしまう気もする。難しいバランスの上に成り立った作品ですね。

で、右側は実業家のデヴィッド(エド・ハリス)。歳とったなー。体も一回り小さくなってしまった。肩の辺りがね。憎々しい悪役のはずなんだけど、エド・ハリスの老け方になんだか少し淋しいものを感じました。

この作品は、ニューヨーカーの野次馬根性や無責任さ(飛び降りろコール)、マスコミの報道姿勢なども、やや批判的に描いている。問題提起というほどじゃなく「あ、監督は野次馬とマスコミが嫌いなんだな」という程度ですけど。何か大衆とマスコミに恨みでも?

100分と少しの短い作品、あまり長くないのも緊張感が持続してよかった。テンポも良く、サスペンス好きの人にはいいかも。ただ、重箱の隅をつつきたくなる人は、やめたほうがいいのかなあ。箱に穴があくかもしれん。


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