玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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パソコンの人

▼今年の中日は、かなり苦しんでますねえ。今まで落合監督時代にファンはずいぶんと甘やかされてきた。当然のごとく勝っていた。「また、今日も勝ってしまった!わっはっは!観てないけど!」と、勝つことに慣れていた。そこへきて今年のチーム状態の悪さよ。

4割近く打つルナを獲ったにもかかわらず、この成績。今年は絶望的に弱い。何か宗教上の理由で勝ってはいけないのか。夜明け前がもっとも暗いという言葉がある。それを信じよう。

▼仕事で付き合いのある会社のプレゼンを観に行きました。パワーポイントで作成した資料を使ってやるものです。プレゼンの前にノートPCを囲んで、取引先の方たちがああだこうだ言っている。この会社の人たちは、そんなにパソコンに詳しくない。どうもノートPCの調子が悪いらしい。こりゃ、大変そうだなと遠くから見ていると、その中の一人がわたしに気づいてこちらにやってきた。

60歳ぐらいの営業の陽気な人である。この人はパソコンはまったく使わない。挨拶もそこそこに、パソコンの調子を診てくれないかと言うので困った。わたしのように詳しくもない人間がでしゃばるのも申し訳ない。あと、まあ、原因がわからない自信がある。まったくわからないであろうよ。人の役に立たないために生まれてきた人間がわたしだっ!

で、渋っていたら「みんな素人だし、わかんなくてもいいから、とにかく頼むよ!」と言うので、しかたなく付いて行った。悩んでいる人たちの輪に入るなり、その人は力強く言った。

「みんな、パソコンの人を連れて来たぞ!もう大丈夫だ!」

まてまてまてまて。なんだ、パソコンの人って。ずいぶん滅茶苦茶な紹介ですね。あと、直るって一言もいってませんから。その場にいた人たちはお手上げという感じで、ノートPCをこちらに向けた。画面はブルースクリーンである。これが出たら終わりという致命的なエラーだ。ごくまれに周辺機器との相性が悪くてブルースクリーンになるが、そういうことでもなかった。

今からプレゼンの時間までにエラー番号をみてどうにかできるわけもない。そもそも原因がわかってもブルースクリーンの場合は対処できないことが多い。セーフモードでどうにかこうにかするより、新しいノートPCを手配して、そちらでプレゼンをやるしかない。

「こりゃ、無理ですね」と言ったところ「なんだ!直せないのか」と言われてしまった。みな、ガッカリしている。みんなの視線が痛い。「先生、どうにかしてください!」と患者を運び込んで来たのに、わたしは患者を診察するどころか、いきなりお経を唱えだしたようなものである。だってとっくにご臨終なんだもの。なんなら燃やすところまでやりましょうか。

だから無理だって言ったじゃーん!人の役に立たないために生まれてきたって言ったじゃーん!

「パソコンの人なんて言っておきながら何も出来ないヤツ」という目で見られてしまった。わたしは何も言っていない。