玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

このブログの内容はすべてフィクションです

映画「バス男」

バス男
Napoleon Dynamite / 2004年 / アメリカ / 監督:ジャレッド・ヘス / コメディ


オタクの青春、ここにあり。
【あらすじ】
アイダホ州の田舎町に住む高校生ナポレオン・ダイナマイトの冴えない日常。

【感想】
冴えない人間を主人公にした話はたくさんある。オタクだとか性格が暗いとか。それらの作品の主人公は「冴えない」はずなのに、たいていは主人公の役者がかっこいい。コンプレックスになるような容姿をしてない。もっとゴミクズみたいな人間を使ってほしいよな!わたしのことか。

しかしですね、この「バス男」に出てくる主人公ナポレオン・ダイナマイトジョン・ヘダー)の、オタクっぽさはすごい。髪型に無頓着、常に半開きの口、シャツの裾をズボンに入れる、やたらに大きなメガネ、なで肩、視線をそらして話す、走るときのクネクネした気持ちわるい動き、空手などの格闘技に憧れる、これぞ正しいオタクの姿ではないか!
彼の周囲も個性の強い人ばかり。引きこもりの兄、過去の栄光にしがみついている親戚、メキシコから来た転校生、ナポレオンのことが好きなちょっと変わった女の子。

よくこれだけ冴えないメンツを集めたねえ!偉いと思います。兄(写真 オレンジの服)と一緒に怪しげな護身術を習いに行くとこはコントみたいでしたね。

冴えない男の物語は、コンプレックス克服の成長物語が多いのですが、これはそんなことはない。ナポレオン自身は特に問題意識もなく、淡々とすごしている。それが押し付けがましくなくて、いいのかもしれない。

アルバイトをやってみたり、絵を描いてみたり、モテないながら女の子をダンスに誘ったり、友だちや兄弟と遊んだり、オタクながらもそれなりに楽しいというのは、すごく共感できますね。

友人のデビーとのダンスシーンは良かったですね。彼女が作ったドレスを褒めるところなどニヤニヤしてしまった。生徒会選挙のラストシーンも良かった。気持ちをうまく表わすことが下手で不器用なんだけど、実はいい人なんだよねえ。

低予算ながらしっかりした作品だと思います。コメディなのですが、やや突き放したような俯瞰した笑いで、好き嫌いがわかれる作品だと思います。とにかく主人公の冴えないっぷりが突き抜けていましたねー。あそこまで冴えないのは、なかなか。踊りもいい。

邦題の「バス男」は、話題になった「電車男」の人気にあやかってつけたもので、バスは一切関係ない。原題は「Napoleon Dynamite」です。しかし、ナポレオン・ダイナマイトって、滅茶苦茶な名前だ。


JUGEMテーマ:映画