▼一緒に仕事を請けているN氏の家に行く。インターホンを押しても出ない。寝ているのか。いつものように声をかけてみる。
「先日、助けていただいたツルでございます!ご恩返しに参りました!ツルと申します!ねー、ちょっとー、ツルなんですけどー!開けてくださいよー。皆さまから愛されて今年で三十周年、信頼と実績の業界最大手、お客様満足度ナンバーワンのツルなんですけどー!ねーったらー」
扉を開けるなり「やかましいわ。殺すぞ」って言われた。び、びび、びぢねすぱーとなーである、アタクシに向かって!
▼仕事を請けている会社へ。新入社員でお菓子作りが趣味というお菓子ちゃんと話す。会社にはまだ慣れておらず、わからないことだらけという。それはいいのだが、部長のことを「すごく仕事ができそうで信頼できる上司」などと言ったので、のけぞる。どう洗脳すれば、わずか一ヶ月でこうなるのか。部長のやつ、なにか一服盛ったな。
部長がどんな人間かというと、こちらが質問の返事をすると「それは、ファイナルアンサ~?」と、得意げに訊いてくるタチの悪い人間である。何年前にミリオネア終わったと思ってんだ。本当に日本に住んでんのか。
急いでるときに「ファイナルアンサ~?ファイナルアンサ~?」とやられると、「そうだよ!これがワシのファイナルアンサーじゃあ!」って、首を絞めたくなる。いや、そこまで怒ってませんが。ただ、お菓子ちゃんがあんまり部長を高く評価するので驚いた。
「そうなんだ。部長をそんなに立派な人だと」「違うんですか?」「いや、違うというか、そうねえ‥‥、人殺し以外は一通りやったというあの部長をねえ‥‥」「は!?」
どうにか火のない所に煙を立たせたい、いっそ火事にしたい。そんな思いを胸に秘め、日々ひたむきに働いております。