玉川上水日記

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映画「リアルスティール」

リアルスティール
2011年 / 監督:ショーン・レヴィ / アメリカ / ドラマ、SF


やり直すのに遅すぎることはない。
【あらすじ】
2020年、格闘技の主役は人からロボットへと移っていた。ダメ人間チャーリーが、スクラップ置き場に捨てられていたロボットで戦います。

【感想】
主人公チャーリー(ヒュー・ジャックマン)が本当にダメ人間でねえ。ダメ人間のわたしが言うのもなんだけども。ロボットボクシングもノリで適当に試合をしているような感じで、すぐにロボットを壊してしまう。新しいロボットの調達費用に、息子の親権を売ったりするのだった。おまわりさーん!人身売買してる人がー!

昔、捨てた嫁の息子と何年ぶりかに再会し、その親権を光速で売り払うクズっぷりを見せつけたチャーリーだったが、夏休みの間だけ息子を連れて生活をすることになる。この息子のマックス(ダコタ・ゴヨ)が本当にしっかりした子でねえ。青は藍より出でて藍より青しですなあ。ただ、ものすごく頑固な子なのよ。

試合に連れてかなければ車の鍵を下水道に捨てるとか、試合条件とファイトマネーについて自分の意見を押し通すとか、父親との交渉場面がいくつかある。わたしが日本人だからというのもあるかもしれないけど、父親と交渉するというのがなかったんですよね。親に自分から条件を提示することがありえないし、そういうことが許されなかったと思う。

もっともチャーリーは、ザ・クズというほどのクズ人間であり、正しい決断をしないために生まれてきた男なので、ほっといたらどんどん崖の方向へ行ってしまうから、マックスが導いてやらねばならなかった。よく出来たお子です。ダンスもかわいいし。

マックスがスクラップ置き場で見つけた時代遅れのロボット、これは実はチャーリー自身なのだろうけど、その時代遅れのロボットで戦って親子の絆を取り戻すというのは、王道ながらいいストーリーですね。

ロボットもたくさん出てきて嬉しいなあ。

左は、天才プログラマーのタク・マシド(カール・ユーン)が開発したノイジーボーイというロボット。「極悪男子」の文字が入っている。バカだわー。これからは草食男子ではなく極悪男子だな!天才プログラマーも、デザインのほうはちょっとアレなのだった。アメリカ人のこういうセンスが好きだ。

メイキングで言っておりますが、スピルバーグから「CGで作るにしろ、ロボットは実際に作ったほうがいい」とアドバイスがあったそうで実際に十何台ものロボットが作られたそうです。役者が何もない空間ではなく、実際にロボットを見て演技をできるからやりやすいらしいですね。こういうところに作品の厚味が出るのかなあ。ロボットはどれも個性的で良かったですね。主役のロボットがもっとも無個性に映る。あれは観客自身を投影させるためかもしれない。

べた褒めしてるようですが、実はそこまで好きというわけでもなくて、なんだろう。ヒュー・ジャックマンという人の性質なのか、どうしてもこの人がダメ人間に見えないのだ。ジェフ・ブリッジスミッキー・ロークジャン=クロード・ヴァン・ダムだとかなりダメそうな感じはする。ヒュー・ジャックマンの場合、この人はどこかで立ち直ってしまうんでしょ?結局、息子のために戦うヒーローになっちゃうんでしょ?という安心感がある。

そんなところをけなすのも滑稽なのだけど、ニセダメ人間ぽいのだ。だからヒュー・ジャックマンが嫌いかというと好きだしさあ。じゃあ、アル中で息子に暴力振るって、息子を売っ払えばいいかというと、それは本当のクズなんでロボットにぶっ飛ばされればいいと思います。うーん、この映画は実に正しいと思うんですよ。正しいけど、正しすぎる映画。変に屈折もしてないし、この映画を好きだという人はきっととても素直な人だと思う。

子どもと観るのに、とてもいい映画だと思います。あと、ちょっと気になったのが敵役のプログラマー、タク・マシドは良いとして、そのコンビのファラ・レンコヴァ(オルガ・フォンダ)というお姉さんがいますが、この人が何もやってない。何もやってないのにものすごく偉そう。不思議。そんで今後のチャーリーとマックスはどうなってしまうのだろうか。


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