玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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出汁

▼仕事を請けている会社に行く。Mさんという三十代半ばの社員と話す。Mさんの付き合っている女性が「料理上手」と自分で言っていたが、どうもそれが嘘らしいという話を聞く。「だって出汁(ダシ)のことをデジルって読むんですよ」と言う。

確かにそれは料理下手の臭いがする。プンプンするなあ、デジルの臭いが。実際に彼女が作った料理は、味が薄かったらしい。デジルが足りなかったのだ。ガッカリした様子の彼に言った。「10点満点のおいしい料理というのはあるかもしれない。でも、彼女が作った料理が3点ぐらいだとしても、Mさんの愛情が7点あれば合計10点になるじゃない」

わたしの言葉を聞いたときのMさんの「何言ってんだ、おまえ。一度、死ぬか?」という表情が実に良かった。わたしも自分で言ってる最中に笑ってしまった。いやあ、心にもないことを言うのは実に楽しいなあ!

Mさんの彼女は、デジルちゃんと呼ぶことにした。そんな会話をしながらゴールデンウィークの第一部は終了した。

無人島に一冊持って行くなら、どの本を持っていくかというのを考えている。広辞苑というのは、ちょっと優等生的答えかもしれない。読むことに飽きたとき、自分で何か物語を作り出すのにも辞書は必要だろうから、いい答えではあるとは思う。

辞書でないのなら、内容の解釈が一通りではない本がいいだろうか。聖書というのもいいかもしれない。地図帳も眺めていると楽しいものだ。ただ、地図帳を選んだ場合「無人島」の意味が変わってくる。

旅行で気楽に無人島に行くのなら地図帳も楽しくていい。だが漂流して無人島にいますという場合だと「地図帳見て喜んでる場合か。どこにいるかわかんないのに」となってしまう。もし無人島から一生出られないと仮定すると、何がいいだろうか。

そうすると「家庭の医学」とか「食べられる野草」などになりそうだけど、それは何か違う。「あなたが無人島に一冊持って行くなら何か」「家庭の医学です」って変だろう。そういうんじゃなくて、もっとこう精神的支柱になりうる一冊というか。これはなかなか難しい。もう少し考えてみよう。
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