玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

このブログの内容はすべてフィクションです

映画「キンキーブーツ」

キンキーブーツ
Kinky Boots / 2005年 / イギリス / 監督:ジュリアン・ジャロルド / コメディ、ドラマ


【あらすじ】
靴工場がつぶれそうなのでドラァグクィーン向けのブーツを作るよ。ニッチだね。

【感想】
ごくごく稀にだけど、映画を観始めてすぐに心が浮き立つ気分になることがある。画面から光が溢れてくるような「これから何か面白いことが始まる」という確かな予感を感じるのだ。いい映画はそんな兆しを感じさせてくれる。

特にクスリなどはやっていません。宗教もやっていません。

予感めいたものはわたしの思い込みに過ぎないんだろうけども、それにしてもなかなかいいものなんですよね。ワクワクするんです。冒頭、黒人の少年が空の下で音楽に合わせて軽快にステップを踏む。その瞬間に、予感は訪れました。あれはいい場面でした。

話は本当に地味で、田舎町ノーザンプトンの靴工場を継いだ冴えない男チャーリー(ジョエル・エドガートン、写真右)が周囲の支えを受けて工場を再生していく話。不況で苦しむ中、活路を見出そうとしたチャーリーはドラァグクイーンのローラ(キウェテル・イジョフォー、写真左)と出会ったことで、ドラァグクィーン向けブーツの開発を思いついた。

偏見を克服しお互いが成長してチャンスをつかむという、もう本当にありがちな話なんだけど全然それが嫌じゃないんですよね。むしろその王道っぷりが嬉しい。キウェテル・イジョフォーのおかまちゃんは、実際のおかまの指導を受けただけあって良かったですね。ショーの場面も楽しい。

この作品、靴工場で俳優が職人に靴制作を教わったり、職人も出演していたり、本物のおかまが出ていたりと、細部にこだわっています。その細かな積み重ねが作品に厚味を与えるのでしょうか。いかにもイギリスといった古びた靴工場もすばらしいです。観終わったあとに元気が出る、誰にでも薦めたい映画です。今年観た中では一番好きですね。まだ、今年が始まって二ヶ月ちょいですけど。


JUGEMテーマ:映画