玉川上水日記

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映画「13人の刺客」

13人の刺客
2010年 / 日本 / 監督:三池崇史 / アクション、時代劇


斬って斬って斬りまくる。ノルマは一人三十人。
【あらすじ】
悪い殿様がいるので、斬ります。

【感想】ネタバレしてません。
久しぶりに時代劇が観たくなったので借りてきました。いやあ、本当に人がたくさん斬られたなあ。死屍累々でございますよ。なにせ三池監督だから表現がエグイ。

1963年に公開された「十三人の刺客」のリメイク作品です。筋はすごく簡単。明石藩に松平斉韶(まつだいら なりつぐ)という藩主がいる。この人が悪逆非道で、ちょっと引くぐらい異常なのである。だけど幕府の老中になりそう。そんな異常者が老中になったら大変だから、その前に消してしまおうという話。

SMAP稲垣吾郎さんが暴君松平斉韶役ですが、今までのイメージを覆す完全な悪役に成りきってました。「あ、あの吾郎ちゃんが!なななんてことを!」と思った。テレビで見かける物静かで穏やかな印象が強い分、ギャップがものすごかった。うまい起用だと思います。これはファンはどう感じたのかなあ。吾郎ファンは泣くかも。わたしは意外な面が観られて良かったけど。この映画でもっとも驚いた演技でした。

それにしても血、切腹、生首など残酷なシーンが盛りだくさんである。これほどまでとは思いませんでした。斉韶によって手足を切り落とされ、舌を抜かれ、強姦された女が出てくる。主人公の島田新左衛門(役所広司)に、老中(平幹二郎)が「ほれー、斉韶はこんなに悪いやつなんだぞー。だから討ってね」と、その女の痛々しい体を見せる場面がある。

こんなに過激な描写は必要なのか。口で説明してもいいと思うんだけども。「こういう悪い殿様がおるよ」って。だが、CGとはいえ、痛々しい体の説得力はすごくて、思わず画面から目を背けたくなった。だとすると、あえてその体を見せた意味はあるのかもしれない。そういう演出面の話とは別に、そんなひどい目に遭った人の服を脱がせたらいかんだろうというのもあるんだけど。そこはいいことになっておるね。老中、どうなのよ。

ということでエグイ描写は多いですが、三池監督だから観る人は覚悟しているのだろう。エグイからと文句をつけるのは筋違いかもしれない。わたしは、寿司屋に入って「ラーメンがないのか!」と文句をつけているようなものかも。三池監督のは覚悟して観ないといけませんね。

じゃあ、面白くないのかというとそんなことはなくて、とてもよくできた娯楽時代劇だと思います。伊原剛志さんを中心として、とにかく斬って斬って斬りまくる。300人斬るのだ。娯楽物なのでリアリティとかはいいんです。

そもそもリアルだとか、リアルでないとか言っても、その時代に生きてた人は誰もいないわけで本当のところはわからない。司馬遼太郎吉川英治などの本を読んで築き上げられた世界観に近いものをリアルと言っているだけでしかない。だからリアルかどうかは置いとくとして、この作品、変な人がいるんだよねえ。

首に刀が刺さって一回死んだことになるんですが、後でケロッとして出てくるという。それ、やはりまずいんじゃないか。それはリアルというよりルールの問題だと思う。ウルトラマンが3分しか地球にいられないというルール内で戦っていて「やっぱ、3分とかどうでもいいんだわ。それは番組の都合なんで」とか言われたら、つまらなくなる。だから無敵というのはちょっとね。いろいろ文句を書いてしまいましたけど面白かったです。吾郎ちゃんの極悪ぶりがすごかったよ。


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