玉川上水日記

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映画「TIME/タイム」

TIME/タイム
2011年 / アメリカ / 監督:アンドリュー・ニコル / SF


コーヒー1杯4分。ご利用は計画的に。
【あらすじ】
近未来、人類は遺伝子操作で25歳から歳をとることがなくなった。人は永遠に生きることも可能になった。貨幣は廃止され、代わりに時間が貨幣となる。労働の対価は時間で払われ、必要な物も時間で買われる。そして左腕に表示された時間がなくなったとき人は死ぬ。かっこいー。

【感想】ネタバレしてます。
SF映画ガタカ」や武器商人を題材にした「ロード・オブ・ウォー」を撮ったアンドリュー・ニコル監督がSFを撮るというので、これはもう期待しておりました。あらすじを読んだときに、ちょっとこれ面白いんじゃないかと思うでしょう。この作品、設定がすごく面白そうなんですよ。設定だけはなあ‥‥。

途中まではワクワクさせる展開なんだけど、どうにもこうにも粗が多かった。

主人公ウィル・サラス(ジャスティン・ティンバーレイク)。スラム街の出身で父親は時間バトル(謎の競技、最後まで謎だった)で死亡、母親との二人暮らし。自身も生活に困窮している労働者だが、正義感が強くて、いろんな人に時間を分け与えてしまう。そのおかげで、持ち時間はしばしば1分を切ることも。もうちょっと考えて使ってほしい。周囲には優しいが、ダンナにはしたくないタイプ。

ヒロインはシルビア・ワイス(アマンダ・サイフリッド)。100万年持ってる富豪の娘。100万年て。頭の悪い小学生が言いそうな設定で好き。ちょっと浜崎あゆみに似ている。そんなシルビアは富裕層の刺激のない暮らしに飽き飽きしており、スラム街に憧れている。金持ちゆえのけっこうどうでもいい悩みというか。なのでスラム育ちの主人公ウィルにメロメロです。

この映画、時間がない切迫感を演出するためか、すぐ持ち時間が1分を切るんですよね。ちと、やりすぎなんじゃないかと。ウィルの母親はバス代が値上がったせいでバスに乗れず、ウィルに時間をわけてもらうために走る。時間は、手を握りあうことで簡単に移動させられます。で、ウィルと母親の手が触れるかどうかのところで1秒足りなくて死んでしまう。えーもー、1秒ってさあ。そんなのばっかりなんだよなあ。
こちら、タイムキーパーのレオン(キリアン・マーフィー)。不正な時間利用を取り締まる。

タイムキーパーは警察みたいなものですね。一応、切れ者という設定で存在感があっていいんですが、ウィルを追い詰めたときに「あ、今日の時間、補充すんの忘れてた!」ということで勝手に死ぬ。

ズコーってなります。もう本当になんなのだ。ちゃんとしてほしい。キリアン・マーフィー好きなのになあ。

で、ウィルと富豪の娘シルビアのコンビで世界を救おうってことで、時間銀行強盗をやりまくるんだけども、ハンドガンで二人だけで押し入ってなぜか成功してしまう。ウィルは軍人ではなく、ただの労働者なのだけど。もうさあ、時間なくて死にそうな人はみんな銀行強盗やればいいんじゃないのか。誰にでもできる簡単なお仕事だよ。

走るのが速いのが貧乏人とか、物価や税率を操作して人口が増えすぎないようコントロールしてるとか、そういう設定は面白いんですよね。この世界ならではの文化や慣習を、もっと詰め込んでもよかったんじゃないでしょうか。早く歩くと「品がない」と怒られたり、ゆら~っと動く太極拳が富裕層に流行ってるとか、「足速そうな顔だなー」と言うのが悪口になったり。

最後は、膨大な時間をみんなに分け与える。すると、みんなが「もう1年は働かなくていいんだー」って、労働放棄して富裕層の住んでるエリアに歩き出して終わります。そ、それでいいのか。この1年の間にさあ、こんな不公正な世界を壊すため、みんなで革命を起こすべきじゃないのか!そんなんでいいんですか!あと1年で死んじゃうのに!ハッピーエンドみたいになってるけど、何も変わってないぞ!

文化祭のときに何をやるか誰も意見を出さず、一人で「喫茶店」「お化け屋敷」「お好み焼き屋」などとアイディアを出して「みんな、もっと真面目に考えて!」って怒っていた水沢さんを思い出したので、もう寝ます。今、わたしは水沢さんの気持ちがわかる。


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