玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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クッキー

▼母の勤める会社でのこと。正月に女子トイレに不審者が出て現行犯逮捕された。近々、警察がきて現場検証をやるというので、職場ではかなり盛り上がっているらしい。いいなあ、イベントがあって楽しそうで。参加したい。犯人役とかやりましょうか。わたしのかぎりなく自然な演技に期待してほしい。

▼「世の中ね、顔かお金かなのよ」というメールを友人A子からもらった。どちらも持ってないわたしに対する挑戦かと思ったら回文とのこと。「よのなかね、かおかおかねかなのよ」メッセージ性の高い回文ですなあ。

▼年始に伯母に会った。伯母はもう八十歳を越えている。小さい頃からよくかわいがってもらった。わたしのためにわざわざクッキーの詰め合わせを買っておいてくれた。最近だと業務スーパーなどで四、五百円で売っているのを見かける。いくつになっても親からすれば子どもは子どもといいますが、伯母にとってもわたしはまだクッキーの詰め合わせを楽しみにしている子どもなのかもしれない。

丸型で洗面器ぐらいの大きさの缶にいろんなクッキーが入っている。昔はこれをもらうのが楽しみだった。

映画「魔女の宅急便」で、おばあさんが孫のためにニシンのパイを焼くシーンがある。昔は孫もそのパイを楽しみにしていたのだろうけど、大きくなってからは「あたし、このパイ嫌いなのよね」と迷惑そうなのだ。その場面を思い出した。そんなこと言っちゃ駄目じゃんか!なあ!せっかくおばあちゃんが焼いてくれたのに。

などと少しせつなくなったりしたものの、わたしはクッキーを迷惑がるということもなく、ごくふつうに食べていた。いや、けっこうたくさん食べたんだよね。「ちょっと!そんなに食べたら、ご飯食べられなくなるでしょ」と言われるほど。食べすぎである。

少しは成長したいものです。人間的にはまったく成長しないが物理的に横方向に成長した。この正月で2キロほど成長した。せつない話とかは特にない。

▼で、ちょっと「魔女の宅急便」のことを考えてみたのだけど、あれって孫や娘(実の娘ではなくて息子の嫁なのか)は、おばあちゃんにニシンのパイが苦手だと言えてないんですよね。嫁姑の微妙な関係からなのか。

「実はあのパイ、嫌いなんです」と言わなくてもいいのかもしれん。今まで一方的にあの孫はひどいやつであると決めつけてきた。だってキキはこの孫の言葉にショックを受けて自分の仕事の意義について悩みはじめ、空が飛べなくなり「アタシ、この仕事向いてないかも‥‥」などと、駅のホームで携帯電話片手に涙声で話すOLみたくなってしまうのだ。この前、そういう人を見た。

で、あのシーンねえ、うーん、まあその嫁姑問題とかあるし、孫も直接おばあさんを傷つけているわけでもないし、どこの家庭だって多少納得がいかないことを抱えつつやっていくわけでして、うーん、実にモヤモヤする。魔女の宅急便て、そういうところを観る映画でしたっけ。
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