玉川上水日記

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映画「ヒットマンズ・レクイエム」

ヒットマンズ・レクイエム
2008年 / イギリス、アメリカ / 監督:マーティン・マクドナー / 犯罪、ユーモア


殺し屋たちの奇妙に優しい映画
【あらすじ】
短気で粗暴だけどどこか憎めない若い殺し屋、太っちょで教養があり穏やかな殺し屋、二人はボスの命令を受けベルギーの古都ブルージュで次の指令を待っていた。でも、ボスが何も言ってこないのでブラブラ観光してました。

【感想】ネタばれしてません。
映画の感想を書くときに一応ジャンル分けをするのですが、たまにどれに分類していいかわからない作品があります。この映画は、ツタヤの棚に行けば「ヒューマン」とか「ドラマ」に分類されるのかもしれないけど、およそ人が出ている作品でヒューマンでもドラマでもない作品などあるだろうか、と考えるとまた分類が難しくなってしまう。

コメディ的な要素もあるのだけどゲラゲラ笑わせるんじゃなくて、どこか影のあるおかしさ、ペーソスとでもいうんでしょうか。ヨーロッパ映画らしいちょっと陰気な感じで笑わせてくるんですよね。殺し屋が三人登場する犯罪映画なのだけど派手なガンアクションはなくて、洒落の効いた会話で話が展開されます。

左は温厚な殺し屋のケン(ブレンダン・グリーソン)。温厚で殺し屋ってのはどうなんだと思うんですが、本当に温厚なんだもの。わたしの昔の上司に似ている。右は短気で粗暴、考える前に手が出るレイ(コリン・ファレル)。八の字眉毛の困り顔が印象的。しょっちゅう困っている。
で、組織のボスのハリー(レイフ・ファインズ)。実に光ってました。規律と誇りを重んじる性格なのだけど、かなりいっちゃってる人である。こういう人が大好きだ。

ケンとレイが街を観光していて電話にでなかったのでご立腹。「ちゃんと待ってろって言ったでしょ!僕はきっちり仕事をしないやつは大嫌いなの!」というボスである。

宿屋のおかみさんに残す伝言もステキ。箇条書きで怒る。「1、おまえらがいないのはなぜだ。2、クソ宿屋にクソ留守番電話がないのはなぜだ。3、しかたがないのでクソ受付に伝言を残す」というような怒り方をする。クソクソ言い過ぎである。

自分の美学に沿った生き方をしていて、そこからはみ出すやり方は絶対に許さない。中途半端な仕事をする者に対する軽蔑がある。とても魅力的ですが完全に頭はおかしいよ。それぞれキャラに味があっていいですね。宿屋のおかみさん(テクラ・ルーテン)も好きだなあ。

この作品、なぜかAmazonで売られておらずレンタル専用のようです。日本では劇場未公開だったせいでしょうか。万人受けする内容ではないのかもしれませんが楽しめました。古都ブルージュの美しさと静かな笑い、派手ではないけど良かったです。
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