玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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無視

▼紅葉の季節でも足元を見れば紫陽花が咲いている。


▼N氏と仕事を請けている会社へ。エレベーターに乗ると、後ろから一人の男性がやってきた。N氏がその男性に「何階ですか?」と訊ねるが答えない。エレベーターの扉が閉まる。男性は黙ってエレベーターの6階のボタンを押した。6階に着くと男性は一瞥もくれずにエレベーターを降りていった。

N氏:あいつ腹立つわー。ふつうさあ自分で押すにしても会釈とかしない?

わたし:うーん、声が聞こえなかったのかもね。

N:いや、聞こえるだろう。こんな近くだし。

わ:ガラガラ声が嫌で返事したくなかったのかなあ。

N:アホか。この美声をつかまえて何を言うか。世界の歌姫だわ。6オクターブ出るわ。


わ:え?なんデシベル

N:公害ではないので。

わ:まあ、うちのマンションにも返事しない人いるからなあ。

N:腹立たない?そーゆーやつ。

わ:立たない。

N:なんで?

わ:なんか事情があるかもしれないじゃん。身内に不幸があったとか、仕事がうまくいってないとか。

N:ないわー!ないない!じゃあ、おたずねいたしますが身内に不幸があったからってエレベーターで人を無視なさいますか?

わ:いや、しないけど。耳に入らなかったのかもしれないし。耳が聴こえないことだってあるかも。

N:その可能性はあるけど低いだろ。

わ:低いね。

N:じゃあ、殴ってもいいよね鈍器で!


わ:駄目だろ。

N:だって腹立つじゃーん。


わ:いや、なんかこう逆に感心するというか。

N:え?

わ:社会人としての常識ってのもそうだけど、ふつう自分が挨拶されたとして無視するのは申し訳ないと思うでしょ。居心地悪いし。

N:ああ。

わ:良心の呵責というか。そこを堂々と無視するという。なんで無視できるんだろう、どういう感覚なんだろうとか。そこに感心するんだよねえ。

N:言ってることはわかるんだけど‥‥、相変わらずバカなの?

わ:なんだとお!

ということで、おっさん二人で首を絞めあって遊びました。

▼座椅子が壊れましてね。新しい座椅子を買ったんですよ。驚いたー。座椅子界ってのはここまで進歩を遂げていたのか。座り心地がいい!わたくし、座椅子界の浦島太郎でした。竜宮城から帰ったら自分の家が六本木ヒルズになってたぐらい驚いた。そこまでじゃない。

タツ、みかん、テレビを真冬三種の神器と思っていたが座椅子もそこに割って入るかもしれんなー。低反発クッションで座り心地はいいし、首のところも可動するんですよ。

以前の物は、首のところは動かないから寄りかかると視線は天井を向いてしまう。それが首の部分を曲げることで楽にテレビも観られる。足のところも曲がるんですよね。これなんのために曲がるのかわからないんだけど。でもこれもすごい意味があるはず。わたしは浦島だから、まだよくわかんないけど。

そんで、クッションの感触がムチムチしてる。ギュッと素材が詰まっている感じがする。座り心地が良すぎて、この座椅子を使ってコタツに入ると出られない。これはさあ、国で取り締まったほうがいいんじゃないのか。みんな会社に行かなくなって労働力が低下する。国家の危機。

大げさだわ。まあ、そんなフカフカ座椅子ですが今のやつが壊れたらいかがですか。でもどうなんだろ。わたしは驚いたけど、ひょっとしてこれぐらいの使用感は世間では常識なのだろうか。

わたしの以前の座椅子は薪(マキ)を背中に敷いてるのと同じぐらいの感触だったからなあ。ふと「あ、これずいぶん柔らかい薪だなあ」って思ったら座椅子だったという。それぐらいのを使ってた。

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