玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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再会

▼二年ぶりぐらいに幼馴染と会った。まるで毎週会っているかのように、ほとんどなんの違和感もなく会話ができた。ふつうならば当時の会話のリズムに戻るまで、お互いが手探りで様子をうかがわなければならないのだけど。

友人は趣味で曲を作っている。以前はネットで曲を公開していたが、もうそれも止めてしまったという。自分のためだけに曲を作り、自分で聴いて喜んでいる。曲を聴かせてもらったが周りが騒がしかったのでよくわからなかった。ただ、曲の形式がふつうのものと違うので驚いた。

販売している曲というのは、だいたいが二番まであって、Aメロ、Bメロ、Cメロ(サビ)を繰り返して五分程度で終わる。そういう形式ではない。繰り返しは行われないで五十分ほどの長さになっているという。たしかに売るわけじゃないんだから好きに作ればいいのだ。

どうも彼の話だと、市販の曲の作り方はサビを聞かせたくて、そこに至るまでのAメロ、Bメロなどはサビに至るまでの適当な付け足しに過ぎないということらしい。あまりに様式化、画一化しすぎているのではないかという。特に疑問もなく曲を聴いていたが、そういえば不思議である。

こういうなんの疑問もない思い込みというのがきっと他にもたくさんあるのだろう。わたしの日記も、自分では気づかないルールに囚われているかもしれない。もっと自由であっていいのだろう。面白い人の日記を丸写しして、さも自分が書いたように見せかけるとかさあ!それだって表現といえるのではないか!

ただの犯罪ですけど。

▼曲を買うときにアルバムよりもシングルを買ったほうがいいと教えてもらった。シングルはその曲だけのために音圧が調整されている。アルバムは収録曲全体のために音圧が調整されている。シングルと聴き比べると違いがわかるらしい。この文を書いていて問題なのは「音圧」がなにかさっぱりわかってないことである。

さもわかっているかのように書いてしまった。簡単に言えば音圧というのは、みなさんの心の底にある美しいもの、人にとってかけがえのないもの、とだけ言っておきましょう。だいたいこれで乗り切れるはずなんだ、世の中ってのは。詳しいことは各自調べておくように。わたしも調べておくように。

彼にヘッドフォンを貸してもらい曲を聴いていた。ヘッドフォンも、いいものだとまったく音が違うらしい。彼ならばきっとヘッドフォンにもこだわりがあるのだろう。
「このヘッドフォンも特殊なやつなの?」と訊いた。
「いや、べつに。それは耳がフカフカしてあったかい」

さっきまで音圧とかミキシングとか、かっこいいこと言ってたのに。
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