玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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奴隷商人

▼ちょっと前に痛風になりまして、仕事の打ち合わせを延期してもらいました。で、担当者であるY部長が不在で、Kさんという女の子にY部長への伝言を頼んだ。あとでKさんから連絡があった。Y部長が「はっはっは、痛風か!でも痛風でも働けるぞー!キーボードが打てればどこでも仕事はできるからなー。大丈夫、大丈夫!」って笑ってましたと聞かされた。

全然大丈夫じゃないんだけどな。
「Y部長は前世が奴隷商人だから仕方ないよねー。あの人は大航海時代は本当に無茶やってたから。自分の親を売り飛ばしてたから」とKさんに愚痴った。

▼先日お世話になっている会社にちょっと顔を出した。そしたら卑屈君が寄ってきた。彼は、知人をフェイスブックで検索してその交友関係が充実しているのを確認して妬むのが趣味という、ちょっと屈折した人である。口癖は「どうせ僕なんて‥‥」である。

そんな卑屈君がなにやら嬉しそうにしている。
「実はKさんのツイッターを見つけちゃいまして」とご機嫌なのだ。そういうのは本当にやめたほうがいいと思うんですよ。同僚のツイッターなんて見たっていいことないもの。やんわりと「あんまり見ないほうがいいよ」とたしなめた。大人だなあ、わたしは。

卑屈君は「あれ~?そんなこと言っちゃって本当にいいんですか~?」と、もったいぶっている。気味が悪い。もう嫌な予感しかしない。

話を聞くと、Kさんのツイッターにわたしのことが書いてあるという。卑屈君にツイッターのアドレスを送ってもらい内容を読んだ。以前、わたしがY部長のことを「前世が奴隷商人」と、ほんの冗談で、その場を和ませようと思ってもないことを、たしか脅迫されてやむなく言ったことがありました。そのくだりが書いてあるのです。

そんなのさあ、ちょっとした冗談なのにこんな風に書かれたら悪口みたいじゃん!悪口ですけども。怖いわあ。あとそれをリツイートしているバカはなんなのだ。リツイートするような話じゃないのに。リテラシーがなっとらん!と怒る前に、おまえが軽口を叩くなという話ですけども。

で、そのあとにY部長に会うことがありました。
「ゴルフの調子はどうですか?」などと挨拶しようと思ったら、向こうから「どうもどうも!奴隷商人のYです!」などと言う。腰が抜けた。「いや、もう、本当に前世はお世話になりまして‥‥」と、かろうじて言った。で、わたくしめはどちらの靴から舐めたらよろしいでしょうか?としか言えない。

しかし、本当に肝が冷えた。ある程度信頼関係がある間柄だから冗談で済んだけど、冗談にしろ人の悪口をツイッターなどに書いたらいけないですね。どこで誰が見るかわからないし、文字だけで見るとその場の雰囲気やその言葉を口にしたときの表情、声色などの情報が抜けてしまい、すごく冷たく見えてしまう。わたしは親愛の情をこめて、極めて親密な態度で、前世は奴隷商人と罵ったわけです。だからわたしは悪くないと思うんです。

以前に上司から、良い報告はメールでもいいが、謝罪や悪い報告は直接会ってするか、電話でしろと言われていたことを思い出しました。

さて今後、わたしはあの奴隷商人の悪口をどこで言えばいいんでしょうか。

▼しかし、実際に「奴隷商人」と言ったわけでもないんです。実際はもっとひどいことを言っている。でもさあ、そこを変えて書かないと「奴隷商人」て検索して、わたしの身元を割り出そうとする人がいるかもしれんということで変えて書いてあります。

いろいろ面倒なことになってるよねえ。
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