玉川上水日記

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映画「スウィート・ノベンバー」

スウィート・ノベンバー
2001年 / アメリカ / 監督:パット・オコナー / 恋愛


【あらすじ】
エリート広告営業マンのネルソン(キアヌ・リーブス)は運転免許更新の試験場でサラ(シャーリーズ・セロン)という美しい女性に出会う。

【感想】ネタばれしてません。
なんというか怖い作品だった。ネルソンとサラが恋に落ちるというシンプルなラブストーリーなんだけどね。

なんでこんなに恐かったかといえばサラという女性の行動原理がまったくわからないからだと思う。運転免許の更新試験でネルソンがわからない問題をサラに訊いたところ、サラのほうがカンニングで失格になってしまう。で、ですね、試験が終わったらサラが駐車場で待っている。
「よう来たのー。で、おまえ試験受かったんか?わしはおまえのせいで落ちたけどのう」の図。これね、一言か二言しか言葉を交わしたことのないネルソンのベンツの上になぜか座っている。

普通、知らない人の車のボンネットに座らないと思うんだけど‥‥。なにかわたしはこの人に危ういものを感じた。試験中も、試験官が飲食禁止というのに隠れてチョコを食べてるし。それぐらい我慢しなさいよ‥‥。

ネルソンはネルソンで、序盤はかなり性格が悪い人なので「交通費やるから帰れや」みたいな態度で「頭おかしい人VSひどい人」という展開なのだ。サラにしてみれば、ネルソンのせいで試験に落ちるわ、車が使えないわで頭にくるのは一応理解はできる。

で、その夜なんですけどもネルソン宅に突然の訪問者が。
「ネ~ルちゃん。
おまえんち、ここかあ?ええとこ住んどるやんけ~」というサラさん。

「ど、ど、どうして俺の住所を!?
この女、完全に頭おかしい!」の図。
びびりまくるネルソン。これはラブストーリーの顔ではない。サラがどうやってネルソンの住所を調べたかは不明。

「おまえのせいで免許更新できなかったんだから、今から車出せやー」というサラさん。「ちょっとー、管理人さーん」とすっかり弱気のネルソン。

ネルソンが断ると、サラはマンションの他の住人に「みなさ~ん、この男は乱交パーティーやってますよー!」と大声で滅茶苦茶なことを言う。そしてネルソンに言うことをきかす。ほんと怖い。ヤクザでしょうか。

ここまで観てレンタルDVDのジャケットを見直した。たしかにラブストーリーと書いてある。いや、これどう見てもホラーだろうが。間違えてミザリーを借りたのかもしれない。しかも、この後にサラはネルソンに車を出させて犬を盗みに向かうのだった。盗みの運転をほぼ初対面の人間にさせるとか、ほんとにもう‥‥キチガイ

過激な女の人である。犬は虐待されていたのか、なんだかよくわからないけどサラのところに戻れて喜んでいるから、それはそれでいいのかもしれない。

しかし翌日、その犬をネルソンに送りつけるんだよ。「おまえは仕事人間で趣味もないつまらないやつだから、犬の面倒みて情緒豊かになれやー」って。宅急便で。犬を。狂っとる。犬の気持ちはどうなってるんだ。

それと「仕事人間=心がない」という安直すぎる図式はどうなんでしょうか。なぜそこまで自分の価値観を正しいと思えるのか不思議だった。その自信は映画が終わるまでちっとも揺るがないのである。

あとまあいろいろありまして同棲します。わたしはキアヌ・リーブスが好きなので「ネルソン、そんな女に、そんな女にだまされないでおくれ!」とずっと応援しとった。しかしさあ、コロッといくんだよねえ。シャーリーズ・セロンは実のところかわいらしいし。性格はややアレな人だけど。
こんな子が執拗に「わしと一ヶ月間、同棲しろや!」と迫ってくるのである。そりゃ、しますけどお。しますけどお。

映画がすすむと彼女がなんで一連の無茶苦茶な行動を取るかという説明みたいなのはあります。でもなんだかかなり無理があるような。

中盤からはやや持ち直して普通のラブストーリーになっちゃうんだよねえ。それが残念。もっと我が道を行ってもよかった。最終的にはキアヌと撃ち合いになって両方死ぬとかだとよかったのに。それはラブストーリーなのか。


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